【野球】彼らが新人王有資格者でいいのか?カブス・今永昇太、ドジャース・山本の好投で、浮かび上がる日米新人王の定義の格差

 彼らが新人王有資格者でいいのか?カブス・今永昇太(30)、ドジャース・山本由伸(25)の好投で、日米新人王の定義格差が改めて浮かび上がる。

 今永が1日(日本時間2日)、本拠地のロッキーズ戦にMLB初登板初先発し、6回2安打無失点の快投で初勝利を飾った。また、山本も勝利投手こそ逃したが、3月30日(日本時間4月1日)の本拠地・カージナルス戦で5回を投げて2安打5奪三振無失点と貫禄のピッチングを披露したのは記憶に新しい。

 このままの投球が続けば当然、話題になってくるのが新人王のタイトルだろう。過去、海を渡った日本人選手でMLBの新人王に輝いたのは4人。1995年のドジャース・野茂英雄を皮切りに、マリナーズの佐々木主浩、イチロー、そしてエンゼルス時代の大谷翔平だ。二刀流で成功していた大谷以上に他の3選手は移籍当時、すでに日本を代表するプレーヤーで数々のタイトルを獲得していた。本来なら、メジャー在籍1年目ということで、新人扱いされるような選手たちではない。あくまでメジャーでの受賞資格があったということに過ぎないのだ。

 メジャーのルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人王)はシーズン終了時に全米野球記者協会の投票により、ア・リーグ、ナ・リーグから各1人ずつが選出されることになっている。受賞資格はメジャー1年目には限定されておらず、前年まで打者なら130打席以内、投手なら投球回数が50イニング以内であればいい。また、チームの公式戦に実際出場できるアクティブ・ロースターの登録期間は45日以内という規定もある。

 それに対し、NPBでも記者投票で選ばれるが、支配下選手登録されてから5年以内で、前年まで投手としては1軍の登板が30イニング以内、打者としては60打席以内でなくてはならないと定められている。

 MLBとNPBには決定的に違うところがある。MLBでは前年まで日本やメキシコ、韓国、台湾のようなレベルの高い他国リーグで残した実績は完全に無視されている。これまでもこれに関する論争はたびたび巻き起こっているが、現段階では正式には改訂される動きも今現在はない。それに対し、NPBでは若干の特例はあるが、原則的には「海外のプロリーグに参加した経験がない」という点だ。

 もし、この規定がなければ昨季、DeNAで10勝4敗、防御率2・76の成績を残したサイ・ヤング賞男、トレーバー・バウアー(33)も、セ・リーグの新人王レースに割って入っただろう。

 確かに各国リーグ間のレベル格差はあるだろうが、常識的に考えればMLBの基準より、NPBの方が正論だ。昨年、侍JAPANが世界一を奪回したWBCでは、世界基準の統一球が使用されるなどグローバル化は進んでいる。そんな時代だけに新人王の受賞資格には違和感を覚える人も多いだろう。今永、山本が今後も好投を続け、この問題に一石を投じてほしいものである。(デイリースポーツ・今野良彦)

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