【野球】なぜ?ドジャース・大谷翔平らの「ヒップロック」パフォーマンスが生まれたわけ 実はれっきとしたエクササイズ 球団関係者明かす
「ドジャース7-8パドレス」(12日、ロサンゼルス)
ドジャース・大谷翔平選手(29)が12日(日本時間13日)、松井秀喜の日本選手最多に並ぶメジャー通算175号をマークした。試合後の取材ではメモリアルアーチに寄せた思いなどについて言及。また、好スタートを切ったチームの士気を高めているのが、塁上のパフォーマンス。新天地で大谷が披露しているコミカルな動きは、どのようにして生まれたのか。球団関係者に話を聞いた。
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癒やされる。屈強な男たちが塁上で見せる想定外のパフォーマンスに思わず、ほおが緩む。大谷が、フリーマンが、アウトマンが、ヘルナンデスが。塁上から自軍ベンチに向かって万歳ポーズで片足を上げ、クイッと腰をひねる。ベンチ内の選手たちもそれに合わせて同じポーズで呼応。その一体感が見ていて気持ちいい。
一見“おふざけ”にも見えるパフォーマンスだが、選手たちが日々実践している「ヒップロック」という、れっきとしたエクササイズの一つ。「フラン・ボッシュというオランダ人トレーナーが考案した『ヒップロック』は骨盤と股関節の機能を向上させる効果があります」。そう説明したのはド軍ストレングスコーチのトラビス・スミスだ。
「選手たちが大好きなエクササイズの一つでね、確か、キケ(・ヘルナンデス)だと思う。彼がいつも『さあ、そろそろ始めようか』と呼びかけて、みんなでヒップロックをやるんだ。CT(クリス・テイラー)が初めて翔平に会った時に『トラビスはヒップロックを見せてくれた?』って聞いたほど大好きなんだ」
その話を聞いて思い出すのは、アリゾナのキャンプ地で大谷が独自メニューのトレーニングをしていると、そばを通りかかったフリーマンがいきなりヒップロックを披露して、大谷を笑わせていたことだ。
コミュニケーション・ツールとして重宝されていたヒップロックがチームを一つにするパフォーマンスとして用いられるようになったのは必然だ。「オープン戦でやろうという話になってね」。スミスによると、昨季のチームにも塁上パフォーマンスはあったが、一つではなかったという。「これでチームが一つになっているのは間違いない」と断言する。
大谷が塁上で披露するもう一つのパフォーマンスがヘッドバンプだ。コーチと互いのヘルメットをぶつけ合う動きだが、こちらは一塁ベース上限定。というのも、発案者はクレイトン・マカロウ一塁コーチだからだ。
「出塁した選手とは握手やグータッチなど、いろんな儀式がある。だから、キャンプの時に翔平に聞いてみたんだ。頭をぶつけ合うのはどうだ?って。そしたら『いいですね、やりましょう』って言ってくれてね」
こちらもオープン戦から採用し、現在に至るが「やり始めたのは良かったんだけど…」と同コーチ。身長193センチの大谷に対し、同コーチの身長は178センチ。「差があり過ぎてちょっとバランスがね」と苦笑いする。
開幕10勝6敗のスタートを切ったド軍。選手やコーチたちがフィールド上で披露するパフォーマンスが、これからもファンの目を楽しませ、チームの士気を高めていく。(デイリースポーツ・小林信行)