【野球】日本球界でも育成契約活用ではなく、ILに代わる制度は必要ないのか カブス・鈴木誠也のIL入りに思う

 カブス・鈴木
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 カブス・鈴木誠也外野手のIL(負傷者リスト)入りに思う。日本球界でも育成契約活用ではなく、ILに代わる制度は必要ないのか。

 鈴木誠也が現地15日、「右腹斜筋挫傷」で10日間の負傷者リスト入りした。MLBのILには10日間、15日間、60日間の3種類がある。10日間、15日間のILに登録された選手は、レギュラーシーズン開幕から8月31日までの公式戦およびポストシーズンに出場できる26人の選手登録枠から除外されるため、カブスもマイナーから外野手のアレクサンダー・カナリオを代わりに昇格させた。

 それ以外にもさまざまな規定があるが、日本球界ではこのILは採用されていない。実は、1992年から96年にかけて日本球界にもこのような制度が設けられていた。当時は70人の支配下登録選手は1軍40人、2軍30人に固定されていた。2軍に登録された選手は、1試合25人まで1軍の試合でベンチ入りできる出場選手登録は不可能だった。ただ、シーズン途中でも5人まで1軍、2軍の入れ替えは可能で、9月以降は70人の支配下登録選手なら1軍の試合に出場することは可能だった。また、全治2カ月以上の故障者は自動的に2軍選手として登録され、その代役として1人が1軍登録でできるという制度だった。

 当時もプロ野球担当の記者として取材活動を行っていたが開幕時点での1軍登録、2軍登録は選手にとっては死活問題だった。当落線上にいた選手の喜びぶりや落胆ぶりを複雑な心境で取材したものである。ところが、97年に1軍40人、2軍30人という枠が撤廃。70人の支配下登録選手の内、28人が出場選手登録され1軍の試合ごとに25人がベンチ入り可能となった。そのため、97年以降は負傷者リストのような制度は日本プロ野球界では登場していない。

 現在、プロ野球12球団がその代わりのように利用しているのが、育成選手契約だろう。1チームの支配下登録選手の上限は70人と定められているため、各球団は将来有望な選手を国内外問わずに育成ドラフトで獲得し、戦力として育て上げようと必死になっている。ところが、近年は長期の治療を余儀なくされた選手を自由契約とし、改めて育成選手として再契約する手法が多く用いられるようになった。13日の巨人-広島戦(東京ドーム)で、602日ぶりに1軍の先発マウンドに上がり4回を4安打無失点に抑えた堀田賢慎もその一人だ。堀田は入団1年目に右ヒジの靱帯(じんたい)再建手術、いわゆるトミー・ジョン手術を受けて20年オフに育成選手契約となったがその後、復活。22年3月に支配下選手選手再登録されている。

 育成契約を活用するのは制度上、何も問題はない。だが、選手を育成することと故障した選手に対するサポートは本来、別ものだろう。何か故障した選手の特化した、新たなサポート制度はないものだろうか。(デイリースポーツ・今野良彦)

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