【野球】カープ初の国立大出身選手・育成ドラ2佐藤って何者? 新星活躍の秘密
広島の育成ドラフト2位・佐藤啓介内野手(22)=静岡大=のバットが止まらない。ここまでウエスタンで打率、出塁率でトップに立ち、11試合連続安打中と、育成選手らしからぬ躍動を見せている。カープ初の国立大出身選手の肩書も持つ新星の活躍の秘密に迫った。
異色の経歴を持つ背番号124が、ウエスタンで大暴れしている。佐藤はここまでの活躍を「ちょっと出来すぎですね」と笑顔で振り返った。
主に「1番・二塁」で出場して18日現在、48打数21安打で打率・438、1本塁打、5打点。出塁率は・534。11試合連続安打中で、その期間内には3安打以上を4度マークするなどまさに無双状態。好調の要因を「一番はプロの直球に対応できるようになってきたこと」と分析する。
愛知の名門・中京大中京出身の佐藤。1学年上にはヤクルトの沢井、1学年下には中日・高橋宏、巨人・中山と高いレベルの中でプレーした。3年夏に背番号2桁で、ベンチ入りするも卒業後は国立大に合格しなければ、野球は辞めるつもりだった。しかし猛勉強の末、静岡大に合格し野球も継続した。
佐藤の特徴はヘルメットが脱げるほどのフルスイングだ。このスタイルを確立したのは静岡大の時だった。1年秋のリーグ戦で本塁打王と新人賞を獲得。衝撃のデビューを飾る中で本人は危機感を募らせた。
「何も考えないで打ててしまった。このままだとおもしろくないし、成長しない。そこから打撃のメカニック的な部分を研究し始めました」
フルスイングをする中でいかに芯で捉える確率を上げるか。試行錯誤を続け、最終的には5度のベストナインを受賞。3年冬にプロ入りを志し、昨秋に広島から育成ドラフト2位指名を受け、球団初の国立大出身選手となった。
プロ入り後にも大きな転機があった。3月9日に本拠地マツダで行われた中日とのオープン戦。六回の守備から出場するも、ボール球に手を出し、2打席連続三振。その試合で準備の大切さを痛感した。「それまでは数を打つタイプだったんですけど、1球ずつ丁寧にやるようにしています」。ティー打撃では1球を打つのに30秒ほど時間をかけて体の動き方の確認や投手をイメージするようになり、結果につながっている。
課題は既に4失策を記録している守備だと自覚している。「目標は支配下ですが、チームの戦力にならないと支配下になっても意味がない。まだまだなのでもっと練習します」。豪快なスイングでマツダスタジアムを沸かせる姿が待ち遠しい。(デイリースポーツ・高橋涼太朗)
◇佐藤 啓介(さとう・けいすけ)2001年5月24日生まれ、22歳。愛知県出身。182センチ、95キロ。右投げ左打ち。内野手。中京大中京、静岡大を経て2023年度育成ドラフト2位で広島入団。23年11月の仮契約の際は「僕の強みは考える力と課題解決能力です」とアピール。