【野球】なぜ中日は首位から滑り落ちたのか リーグ10勝一番乗りから泥沼4連敗
リーグ一番乗りで10勝に到達した立浪竜が節目の勝利から一転、今季初の4連敗を喫して首位の座から滑り落ちた。2年連続最下位からの巻き返しを狙う今季、このままズルズルと落ちていってしまうのか。
今季初の4連敗は後味の悪いものになった。21日の阪神戦。試合開始前から雨が降り続く中、53分遅れで始まった一戦。先発の松葉は5回まで無失点と好投を続けた。だが、打線の援護に恵まれないまま迎えた六回、佐藤輝に先制3ランを献上。直後の七回の攻撃が三者凡退で終わると、審判団が協議した結果、降雨コールドゲームとなった。
あまりにも突然の宣告に立浪監督はあ然とした表情を浮かべ、ベンチ前でキャッチボールをしていた松葉は驚き、ベンチ内の選手は納得できないといった表情だった。
阪神OBの中田良弘氏は「2つの完封負けを喫した阪神戦での3連敗は阪神の投手が良かったと思って割り切ればいいと思う。3戦目こそ3安打だったけど、初戦が8安打、2戦目も9安打と当たりは出ていた。たまたまチャンスで一本出なかっただけだと思うし、決してチーム状態がガクンと落ち込んでわけではないからね」と解説した。
昨年までは好機を作っても決定打を欠く試合が目立ったが、中田氏は「去年と比べるのは早計。初戦は欠場したけど、今年は中田が4番に座っているという安心感、どっしり感があるし、岡林は3試合で1安打といっても、まだ復帰3試合だから」と去年との違いを強調しつつ、岡林が試合勘を徐々に取り戻すことで、打線もさらになじんでいくとの見方を示した。
4連敗中は全試合で先制点を許したことが戦況に影を落とした。20試合を終えて10勝8敗2分けの2位。先制した試合は11で、逆に先制を許した試合は9。先制した11試合は7勝2敗2分けの勝率・778の高い数字で、先制を許した9試合3勝6敗の勝率・333と低い値になっている。中日に限らない面もあるが、やはり先制して、投手陣がリードを守り抜くというスタイルを貫けるかが勝敗のカギになっている。
一方、中田氏は二回途中6失点で大野を降板させた20日の立浪監督の判断について「手術明けで決して万全とは言えない状況なのかもしれないけど、あの日は球審の判定に嫌われた部分もあった。ストライクと思ったボールの何球かがボールとコールされて。球速は出てなかったけど、ちょっと交代が早すぎたのかなと感じた」とし、続けて「8点ビハインドの七回に勝ちパターンの勝野を出したのも不可解だったし、大野を早く交代させたことでブルペンを苦しくさせてしまったよね」と指摘した。
慌てる必要はない。4連敗はしたが、まだ貯金が2つある。中田氏は「立浪監督がいかに落ち着いて采配を振れるかが大事。大野の試合以外では、誰もが納得できるようなベンチワークだったと思うし。采配ミスと言うと厳しいけど、ああいう状況が起こると、どこからか不平不満が出て、ベンチのムードが暗くなってしまうものだから、冷静な試合運びに期待したいね」と結んだ。
負けが込むと、いろんな声が自然と耳に入ってくる。はねのけるには勝ち星を重ねることが何よりの近道。23日の巨人戦は連敗中のチーム同士の対決となるが、ひと足先に連敗をストップし、勝利を収められるか。(デイリースポーツ・鈴木健一)