【スポーツ】米国離れ来季からBリーグでプレー 渡辺雄太が選ぶNBAベストゲームとは 出場213試合のうち「4つあります」
米プロバスケットボールNBAで活躍した渡辺雄太(29)が、来季からのBリーグ入りを表明して帰国した。日本人最長の6シーズン、213試合から自身が選んだベストゲームとは-。
渡辺は米大進学を機に2013年に渡米し、18年に田臥勇太以来2人目となるNBAデビューを果たした。平均在籍数4~5年と言われるほど競争力が激しい世界で戦った6シーズンは、日本人最長記録。当時は異例で反対の声が多かった米大進学は、今では富永啓生(ネブラスカ大)など多くの後輩たちが目指す道しるべになった。
出場した試合数は計213。21日に行われた帰国会見で「NBAでのベストゲームは?」と問われると、斜め上を見つめて数秒考えた後、当時の興奮を思い出したのか、にやりと笑いながら「4つあります」と明かした。1つはデビュー戦。残り3試合は、22~23年シーズンに所属したネッツ時代から挙げた。
1つ目は、22年11月17日のトレイルブレイザーズ戦。前半は波に乗れなかったが、試合が進むにつれて3点シュートが機能。後半は5本中5本を沈め、シーズンハイの20得点で勝利に貢献した。
2つ目は、同月20日のグリズリーズ戦。4連続の長距離砲を沈めた結果以上に、コートから見える観客の姿が印象的だという。相手は古巣のグリズリーズ。チームは敗れたのにもかかわらず、観客席からは「ユウタ!」と歓声が飛び交い、スタンディングオベーションで活躍をたたえてくれた。「自分の活躍で観客が沸いて、たたえられながらベンチに下がる。自分が小さい頃に思い描いていた瞬間」。幼少期から目指した夢の舞台の中心に自分がいる。あの興奮は今でも鳥肌が立つほど思い出すという。
最後に挙げたのは信頼を勝ち取り、勝負を託された1戦。同年12月16日、ラプターズ戦。最終クオーター残り15秒で、113-114の1点ビハインド。チームメートでNBAスーパースターのカイリー・アービングから、勝負を分けるラストパスを託された。左コーナーからリングに触れず、ネットだけを揺らす完璧な3点シュート。「おそらくあれがNBAの中で自分のベストショット。3つの中で一番の試合を選べと言われたら、この試合」。YouTubeでも50万回再生を超える名シーンは、渡辺の“ベストゲーム”でもあった。
今後の戦いの舞台はBリーグに移り、「次のチームで引退するまで」と覚悟を示している。今年迎える30歳を「全盛期」と表現する。これから国内でどれだけの活躍が見られるのか。第2章からも目が離せない。(デイリースポーツ・谷凌弥)