【野球】阪神ブルペンに欠かせない桐敷 飛躍の裏にあるメンタル面の成長「少しずつ分かってきたのかな」
阪神・桐敷拓馬投手(24)がセットアッパーとして奮闘中だ。昨季後半から中継ぎに本格転向。岡田監督から“スペードのエース”と称される活躍でブルペンに欠かせぬ存在になった。27日・ヤクルト戦(甲子園)でも好救援し、勝利に貢献。飛躍の裏にはメンタル面の成長があった。
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フルカウントから勝負球がわずかに外れても、表情一つ変わらない。代打・青木へ押し出し四球を与えた直後、安藤投手コーチ、内野陣がマウンドに集まってくる。その輪の中心で、桐敷は集中力を研ぎ澄ましていた。
「長打を打たれて同点、逆転というのが一番ダメなことだったので、そこはもう割り切ってというか、四球を出してしまいましたけど、次のバッターで(抑えたらいい)と思っていました」
27日のヤクルト戦。桐敷は4-2の七回1死満塁のピンチでマウンドへ上がった。勝負強い中村を空振り三振に仕留め、打席には代打・青木。桐敷が言うように一打同点、長打で逆転を許してしまう場面だ。青木に対して初球から厳しいコースを攻めていく。甘い球は厳禁。押し出し四球で1点差となったが、赤羽は空振り三振に仕留め、リードを守り抜いた。
この「割り切り」こそ、新たに手にしたリリーバーとしての心構えだ。昨季後半に中継ぎ転向。1年前なら「絶対抑えてやるというぐらいの気持ちでやっていたかもしれない」と実感を込める。
「キャッチャーの梅野さん、坂本さんと相談して、岩崎さん、島本さん、加治屋さん…先輩方から話を聞いて、少しずつ分かってきたのかなと。そこはだいぶ成長できてるのかなと思います」
今季はここまで11試合に登板し2勝0敗、5ホールド、防御率1・74。試合終盤、走者を置いた厳しい場面での火消しも任される中、抜群の安定感を支えるのは直球だ。同球種被打率・106、奪三振率11・32を誇る。
「まずはコースにきっちりと投げる。球速も去年より速くなりましたけど、速さより強さというところ。ベース盤の上の強さが必要。そこが少しずつ出てきている」
翌28日、球場に着くと、大竹から感謝の言葉とともにAmazonギフトカードを手渡された。「うれしいというか、びっくりしましたね。日用品でも買おうかな」。照れ笑いを浮かべつつ、先輩の心遣いに恐縮した。救援防御率1・13はリーグ断トツ。鉄壁リリーフ陣の中でも、左腕への信頼度は増すばかりだ。(デイリースポーツ・杉原史恭)