【野球】なぜ2軍落ちした阪神・佐藤輝には多くの苦言が集まるのか 評論家が指摘した今後の野球人生の歩み方

 「中日0-1阪神」(15日、バンテリンドーム)

 14日の中日戦。1点リードの八回無死二塁。中日・田中のバントを処理した坂本の三塁送球を捕球ミスし、逆転負けを誘発した阪神・佐藤輝が今季初めて2軍降格となった。阪神・岡田監督は「あれで終わりよ。おーん。キャッチボールやからな。村上の時、いくつエラーしたんや」と断罪した。

 14日の試合後。SNSでは“戦犯”への罵詈雑言が瞬く間に広がった。2021年の入団後、左打者ではNPB史上初となるルーキーイヤーからの3年連続20本塁打を放った男を愛する熱狂的ファンは多いが、なぜアンチも多いのだろうか。

 SNSでは、ボール球に手を出しすぎるといった技術面での物足りなさを指摘する声に加え、ミスや凡退した際、表情に申し訳なさや悔しさが見えづらいこと、ガムシャラさ、ひたむきさも欠けているように見えるといった点が批判の対象になっていた。

 阪神OBの中田良弘氏は「佐藤輝は最初からガッツや闘志を表に出してプレーするタイプの選手じゃない。俺も多くの選手を見てきたけど、感情を内に秘めるタイプの選手が、何かをキッカケに感情面のスタイルが激変したという例はあまり見た記憶がない。だから佐藤輝にしても、このスタイルは変わってこないと思うし、無理に変える必要もないのかなと思う」と指摘した。

 批判されることはツラいだろうが、それはまさに期待の裏返しでもある。パワーに代表されるたぐいまれな身体能力を保持し、見る者を魅了する圧巻のアーチを何本も描いてきた。佐藤輝なら何かやってくれる-。その期待値がほかの選手よりも高いからこそ、裏切られた失望感が厳しい言葉となって耳に届く。期待されていなければ、批判が生まれる余地は少ない。

 佐藤輝は昨年6月24日のDeNA戦でスタメン落ちした際の態度、振る舞いを理由に2軍降格となった過去がある。その際には「『プレー以外のところ見られているぞ』と言われたので。そういうところもしっかり頑張りたい。しっかり一から初心を忘れないように頑張ります」と話していた。

 それを契機に野球との向き合い方が変わった可能性はあるが、結果が良くても悪くても、感情をあまり表に出さないプレースタイルに大きな変化は見受けられない。応援する側にとっては、喜怒哀楽が明確に映れば感情移入もしやすく同調要素にもなるが、全てではないにしても多くのシチュエーションで“無色”を貫かれると、同調要素を見つけにくいといった側面がある。

 中田氏は「いろんな意見や見方があるんだろうけど、佐藤輝は誰もがマネできるわけではない体格と才能を持ったプロ野球選手。プロである以上、結果で示す以外に道はない。期待されることを誇りに思ってプレーしてほしいし、ひたむきさは真剣に野球と向き合っていれば、自然と顔、背中、プレーからにじみ出てくるものだよ」と語った。

 岡田監督は15日の試合後、佐藤輝に関して「うん、うん、ファームの選手や」と多くを語ろうとはしなかった。

 這い上がり、やり返し、見返すのも自分次第。自らに批判的な考えを持つ人は佐藤輝に限らず、どんな選手にだっている。今回の2軍落ちの捉え方、ファームで汗にまみれる期間を生かすも殺すも、佐藤輝の考え方、取り組み次第である。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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