【野球】阪神・佐藤輝明はいつ1軍に戻ってくるのだろうか 低調が続く打線の起爆剤としての指名はないのか

 「ロッテ0-1阪神」(2日、ZOZOマリンスタジアム)

 阪神が薄氷を踏む勝利で今季ワーストの連敗を「5」で止め、4戦全敗だった交流戦でようやく初勝利を挙げた。だが、得点は初回に森下の自身初となる先頭打者本塁打で挙げた1得点のみ。低空飛行が続く打線に劇的良化の兆しは見えない。佐藤輝明内野手(25)が出場選手登録を抹消されて間もなく3週間。左打者ではNPB史上初となる新人年から3年連続20本塁打を放った主砲は、いつ1軍に戻ってくるのだろうか。

 5月14日の中日戦。1点リードの八回無死二塁。佐藤輝は田中の送りバントを処理した坂本の三塁送球を捕球できず、ピンチが拡大。奮闘していた村上がカリステに同点の右前適時打を浴びると、1死満塁からは石川昂に決勝の2点右前適時打を許した。四回に左前打。六回には右中間への二塁打を放ってチーム唯一の得点となる足場を固めていたが、岡田監督は「あれで終わりよ。おーん。キャッチボールやからな。村上の時、いくつエラーしたんや」と話し、翌15日に出場選手登録を抹消した。

 今季はここまで35試合に出場して打率・209、3本塁打、17打点。3本塁打はチーム3位タイ、17打点は同4位ながら、6失策は同2位で、シーズン換算では自己ワーストの20失策を記録した昨年を上回る24失策ペースだった。

 降格後は2軍公式戦全14試合に出場して打率・302、2本塁打、13打点。現在5試合連続安打中だが、同時に6失策と守備のミスも目立ち、シーズン換算では61失策ペースというおぞましい数字だ。

 佐藤輝が2軍落ちしてからの16試合、チームは今季初の5連敗を含む8勝8敗。三塁スタメンは渡辺が11試合、糸原が5試合務めた。渡辺は打率・237、1本塁打、4打点。糸原は打率・250、0本塁打、2打点。打撃成績に驚くべき数字はないが、三塁守備の失策はわずかに「1」だ。

 また、16試合中チームとして3得点以上をマークしたのはわずか4試合で合計39得点。1試合平均2・4得点という低水準で8勝を挙げられたのは、投手陣の踏ん張り以外の何物でもない。

 岡田監督は5月27日にMBS「よんチャンTV」で放送された掛布雅之氏との対談の中で、佐藤輝を2軍に落とした理由について「全部が全部打てるわけじゃない。そういうことを言ってるんじゃない。打てなくても悔しがる姿。そういう総合的な面ですね。いろんな面での姿勢や内容を含めてね」と明かし、凡打に倒れた後、失策を犯した後でも淡々とした表情でプレーを続けるスタイルが、2軍落ちを決断させる要因のひとつになったと説明し、同時に再昇格のタイミングについては「(最短の)10日じゃないですよ」と言及。佐藤輝の練習に取り組む姿勢、野球への向き合い方、プレースタイルなどに変化が表れなければ、1軍に昇格させる予定はないことを示唆した。

 就任後、岡田監督はそれまで内外野で併用されていた佐藤輝の三塁固定を明言。だが、18年ぶりのリーグ優勝と38年ぶりの日本一を経た今年1月下旬には「能力というかな、持ってるもんから言ったら、もうちょっとええ成績は残せると思う」と評価しながらも、レギュラー固定に関しては「三遊間は分からんよ」と佐藤輝への物足りなさも口にしていた。

 球団史上初のリーグ連覇を唯一無二の目標に掲げる今季。レギュラーの固定を理想に描きながらも、佐藤輝に続いてノイジーも2軍に降格させ、不振が続く大山を4番から7番に降格させるなど、昨年までと同じでは頂点を極めることができないことも理解している。

 187センチ、96キロ。他の誰かがマネしたくでもできない規格外のパワーに代表される身体能力を佐藤輝は持ち合わせている。だが、特大アーチでファンを魅了する一方、ボール球に手を出して空振り、凡打するシーンも多い。守備でもメジャーリーガー並みのランニングスローを見せることもあれば、どことなく軽率に見えてしまうミスもある。期待度が高いがゆえ、攻守で振り幅が大きいという印象があり、チーム内に与える影響も少なくないのだろう。

 プラスもあればマイナスもある。それでも佐藤輝の1軍復帰を待ち望むファンの声は多い。貧打をいかに解消し、首位・巨人に0・5ゲーム差の3位からリーグ連覇をつかみ取る岡田監督のタクトに注目が集まるが、佐藤輝をどう再生させるのか、佐藤輝がどうやってはい上がってくるのかにも興味は尽きない。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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