【野球】なぜ?守備手袋「する派」「しない派」のこだわりとは 名手・菊池は極めてシンプル 広島野手陣に聞いた
試合を見ていて細かな違いに気付かされることがあった。今回は守備時に手袋をつける選手とそうでない選手にフォーカス。通称“守備手”を「する派」「しない派」という観点から、広島野手陣のこだわりに迫った。
まずは強肩と広い守備範囲を武器に、出番を増やしている矢野。手袋をつけず守備に就いており「自分の手で捕っている感覚がほしい」と理由を挙げた。そして「(手袋を)つけるとグラブの中に手を入れるところの大きさなどが、グラブが新しく来たときに変わったりする。そこもあまり変えたくない」と語った。
その矢野と二遊間を組む菊池も、素手でグラブをはめている。12球団を代表する名手が手袋をしない理由は「手の感覚が鈍るからです」と極めてシンプルだった。過去に一度だけ手袋をつける機会があったという。だが「誰かの(手袋)を借りて、そのままグラブをはめたら感覚が違い過ぎて…」と、かなりの違和感があったそうだ。
昨季まで10年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得。新井監督からも「日本一のセカンド」と評され、今季も卓越したプレーで何度もチームを救ってきた。「グラブを手として扱いたい」というのが一番のこだわり。「その感覚で僕はグラブトスをしたりする。一枚、皮手があるとなると、脳までの伝達がたぶん遅いと僕の中では思う。グラブは体の一部ぐらいで思っているので」。スーパープレーを支える極意の一端を明かした。
三塁が主戦場の小園も「しない派」の一人。「試したことはあるけど(感覚が)違った」と採用していない。「基本的に手をあまり(グラブの)中に入れない。小さくというか指のところを広げないようにしているので、それもあると思う」と説明した。
一方、外野手の秋山と野間はいずれも手袋をつけて守備に就く。「手汗で、ベタベタになりたくないから」と秋山。使用している素材は打撃用手袋より薄く「厚過ぎると捕る感覚、グラブからボールに伝わるとか、グラブを動かす動作に対して少し“ラグ”があるような感覚がある」と話す。
逆に野間は、手袋で厚みを持たせたいタイプ。「手袋をしないと(打球に)負ける感じがする。僕は(グラブの)中で手が遊ぶのがあまり好きじゃない。負ける感じがするので厚みを持たせて」と安心感を大切にしたいというのが狙いだった。
内外野によって、考え方は多彩。しかし各選手に共通していたのは、微々たる「感覚」を重んじるこだわり。堅実なプレーはもちろん、華麗な技が光る場面もある。27個のアウトを完成させる裏側には、プロならではの“最善策”が詰まっている。(デイリースポーツ・向亮祐)