【野球】佐藤輝に続いて大山も2軍落ち 阪神OBが「俺は反対意見」苦戦必至で「ここからが岡田監督の腕の見せどころ」
「阪神1-3楽天」(4日、甲子園球場)
阪神・岡田監督が重い決断を下した。今季12試合目の延長戦に競り負け、7カード連続初戦黒星となった試合後、大山の2軍落ちを明言した。
2点を追った延長十回2死一、三塁。最後は中野が空振り三振に倒れたが、ネクストサークルには今季2度目のスタメン落ちとなっていた大山の姿があった。
岡田監督は「明日からファームや。今日話したよ。本人も相当自信なくしてるから。どう打っていいか分からん言うんやから。なんて言うかのお、体のキレやな。全然キレがないやろ、体になあ。本人が言うてきたんや。話し合いやからなあ」と説明した。
今季はここまで53試合に出場して打率・199、3本塁打、19打点。長引く不振から1日のロッテ戦では4番から7番に打順が下がり、翌2日は6番となったが、2試合連続無安打で打率は2割を切った。
大山はこの日、試合前の打撃回りでバットを握ることはなかった。三塁の位置でノックを受けると、外野のポール間を黙々と走り込み、「しっかり頑張ります。それしかないです」と話した。
岡田監督は「朝から打っとったから、昼前から」と甲子園球場に隣接する室内練習場で早出特打を行っていたことを明かし、平田ヘッドコーチも「バッティングを外でやるんじゃなくて、ちょっとランニングを多めにしてということで、トレーニングコーチと。中(室内)で特打ちをしているから」と補足した。
岡田監督は今後の2軍戦出場について「出えへんて。試合でどう打っていいか分からへんのに、なんで出るんや。体のキレを作らんと」と当面の試合出場を否定し、コンディションから作り直す方針を示唆した。
阪神OBの中田良弘氏は今回の措置と判断について「俺は反対意見。本人が申し出たとしても、俺ならずっと1軍で使い続ける。下位を打ってるバッターが2軍に落ちるのと、去年全試合で4番を打ったバッターが下に行くのとでは立場が違う。チームに与える影響も違う。どんなに調子が悪くても、1軍の生きた球で立て直さないと」との私見を述べた。
続けて「大山がいなくなるのなら、佐藤(輝)を上げないと。2軍とはいえ、佐藤は6試合連続でヒットを打って、打率も3割を超えている。守備面を不安視する声もあるけど、とにかく今のチームは打てなくて困ってるわけだから、そこはある程度、目をつむってでも上げるべきだと思う」と、5月15日に出場選手登録を抹消された佐藤輝を昇格させるべきとの考えを示した。
佐藤輝の昇格に関して岡田監督は「上げへんて」と否定した。開幕スタメンを張った4、5番が1軍から消えることになるが、指揮官は89試合を残すペナントレースと両選手の野球人生を見据え、苦戦覚悟で5日からの戦いに臨む。
中田氏は3試合連続失点で同じく2軍降格となったゲラも含めて「救いはこんな状況でもまだ貯金が2つあるということ。首位のジャイアンツともまだ1・5ゲーム差だし」とし、今後のカギについては「そりゃここからは岡田監督の采配。腕の見せどころになってくるでしょ」と指摘した。
球団史上初のリーグ連覇に向けて立ちはだかる壁。主力の不在を若手や控えと呼ばれてきた選手たちが穴埋めできるか。チームにとってはピンチでも、出場機会に恵まれなかったメンバーにとってはまたとないチャンス。チーム力が試される。(デイリースポーツ・鈴木健一)