【野球】なぜ阪神・佐藤輝明はボール球を振ってしまうのか 評論家が問題点と対応策を指摘 再昇格後は打率・158、0本塁打、0打点

 7回、空振り三振に倒れる佐藤輝=12日
 7回、反撃のチャンスに空振り三振に倒れる佐藤輝=12日
 7回、チャンスで空振り三振に倒れ、ベンチで天を仰ぐ佐藤輝(中央)=12日
3枚

 「オリックス4-0阪神」(12日、京セラドーム大阪)

 期待しては裏切られる。それでもファンは底知れぬパワーと、見る者を魅了する一発に期待を寄せる。空気を変え、勝敗をもひっくり返す爆発力があるから、何度ため息をついても期待する。だが、阪神・佐藤輝明内野手はなぜ、ボール球に手を出してしまうのだろうか。

 三回無死。ストライクを2球見送って追い込まれ、最後はワンバウンドしたナックルカーブにバットが空を切った。六回先頭では角度よく打球は飛び出したが、144キロの内角球に詰まらされて右飛。4点を追った七回2死満塁では、2球目の飛球を捕手・若月にファウルゾーンで捕球されたが、天井に当たったとしてファウルで仕切り直し。生き返りのチャンスを得たが、最後は外角低めにワンバウンドしたスライダーに空振り三振。九回2死一、二塁では初球を捉えて一塁への強いゴロを放ったが、野手の正面を突いて最後の打者となった。

 再昇格となった7日の西武戦では初打席で外角低めの直球を中前打。第3打席では変化球を捉えてライナーで右前打。本塁へのヘッドスライディングで先制点を奪い、課題の守備でも丁寧さと素早さを見せ、プレーで勝利を引き寄せた。

 だが、8日の同戦で4打数無安打1三振に終わると、9日の同戦では1四球こそ選んだが3打数無安打1三振。11日のオリックス戦では、捉え損ねて高く弾んだ打球を全力疾走で内野安打にしたが、4打数1安打2三振。守備面の改善は十分に感じられるが、昇格後5試合の打率は19打数3安打の・158、本塁打、打点はいずれもゼロだ。

 追い込まれてから、ボールゾーンに落ちる変化球を空振りするのは佐藤輝に限らず、長いプロ野球の歴史で好打者と評された打者の例を見ても、一定の割合では仕方のないことだとは思う。ただ、一般的に打者が精神的に優位、対等でいられるはずの初球や若いカウントで、なぜ投手の手を離れてすぐ、もしくはある程度の段階で低い、ボールだと分かる球に反応し、バットが出てしまうのだろうか。

 阪神OBの中田良弘氏は「佐藤(輝)は何でもかんでも打ってやろうという風に見え、見逃せばボールなのに自分でカウントを悪くしてる。初球からバットを振ることを積極性と思ってるんじゃないかと感じるぐらい。自分が待っているボールにスイングをかけることは積極性と言えるけど、待ってもいないボールにフルスイングではない弱いスイングを見せることは積極性とは呼べない」と指摘する。

 改善策はどこにあるのか。「これまでにも監督やコーチが何度も言ってることだろうとは思うけど、自分でテーマを持って打席に入ることじゃないかな。例えば『この打席は膝から下のボールには手を出さない』とか『ストレート以外はスイングしない』とかね。結果的に読みが外れたとしても、俺は見逃し三振でいいと思うんだよ。何でもかんでも追いかけて凡退してるように見えるよりはね。ヤマを張って、狙い球を絞って、思い切りスイングする。仮にヒットにならなかったとしても、考えてるな、変わってきたなと思える姿が、首脳陣、チームメート、ファンを納得させる一因になると思うし、次の打席にもつながると思う」との私見を述べた。

 中田氏は「初球から振ってくるバッターは怖い」と言う。ただ「それは狙って来てるなと感じるスイングをしてきた場合であって、弱いスイングや、投手の狙い通りに振ってくるバッターには恐怖心は覚えない。言い換えると、今の佐藤輝には恐怖心は感じないということだね」と説明した。

 広い甲子園を本拠地にしながら、左打者ではNPB史上初となるルーキーイヤーから3年連続20本塁打を放った。ポテンシャルは折り紙付きで誰もが認めるところ。中田氏も「外国人選手に負けないパワーがあって、ツボにはまった時の飛距離は甲子園でも関係ない。なにかキッカケを早くつかんでほしい。もちろん、佐藤も考えてプレーしているんだろうけど、我慢すること、見逃すことであったり、自分が変化することを恐れずにやってほしい」と結んだ。

 西武戦3連勝で息を吹き返したかと思われたが、オリックスとの関西ダービーに連敗。きょう13日に負けることがあれば、再び貯金が底を突く。相手先発は左腕の田嶋。岡田監督がスタメン表に佐藤輝の名前を書き込むかどうか。3週間の2軍生活で得たもの、気づいたもの、感じたものを今こそバットで見せてほしい。(デイリースポーツ・鈴木健一)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス