【野球】くふうハヤテ 新球団立ち上げ最大の苦難は人集め ドラフト漏れ&契約切れも将来性ある若手確保 影響力期待しNPB経験のベテランも

 66年ぶりに球団増という形で2軍リーグに新規参入した「くふうハヤテベンチャーズ静岡」。昨年11月のオーナー会議で正式承認されて約半年。ゼロからのスタートとなった新球団のチーム編成は苦難をともなった。真っさらな状態から首脳陣や選手など“人集め”に奔走してシーズンインを迎えた。

  ◇  ◇

 新たなプロ野球チームを立ち上げる。その上で一番、大変だったことは何だったのか-。くふうハヤテの池田球団社長に聞くと思わず、本音を漏らした。「人集めじゃないですか。どんなに資金があっても人がいなかったらチームは成り立たない。選手、監督、スタッフ。全部ですね。採用活動する(一般の)会社とはまた違う。専門職ですよね。プロ野球選手を、すぐ連れてこいといっても、そんなに簡単に連れてこられない」

 多くの力を注いだのが選手の獲得だった。昨年11月3日に静岡市内で球団のトライアウトを行い、選手の選抜に入った。NPBからの要望は「戦えるチームを作り、戦力を整えてほしい」だった。だが難題もあった。

 トライアウト実施の時点で23年度のプロ野球ドラフト会議は終了していた。池田社長は「ドラフト漏れした選手、どことも契約していない選手。縛りがある中で探さないといけない。そこが最初の立ち上げとしては大変なところだった」と当時を振り返る。

 苦戦しつつ、将来的にNPBでドラフト指名される可能性を秘めた若い選手を確保していった。その一方で「絶対にベテランを入れたかった」と池田社長。ソフトバンクやロッテでプレーした福田秀平外野手(35)やDeNAでリリーフを担った田中健二朗投手(34)らNPBでの経験が豊富な選手たちを獲得した。ベテランの存在がチームに刺激を与え、若手の成長を促すと期待した。

 球団の方針は地域密着。監督には地元・静岡県出身で、近鉄で守護神として活躍した赤堀元之氏が就任した。同氏は「(チーム方針の)再生、育成しながら勝つことを考えるのは結構大変。両立がなかなか難しい」と苦笑いを浮かべる。「(選手が)NPBにドラフトされる、もしくは戻る」(池田社長)が球団の理想。その上、勝利までとなれば困難がつきまとう。

 18日現在、くふうハヤテはウエスタン・リーグで15勝41敗4分けの最下位。ただ、4月の阪神3連戦では3連勝して存在感も示しており、指揮官は「楽しみは十分あると思います」と語る。1軍で活躍することをモチベーションにできない難しさもある中で、池田社長は「将来的にはファーム日本一を目指したい」と意気込む。

 これも同社長の本音だろう。「まさにジャイアントキリングだと思ってます」。3月のウエスタン開幕戦でオリックス・宮城と対戦した。くふうハヤテの選手年俸の「全体が(NPB選手)1人分の給料ぐらいの時もあるわけですよ」。球団名の“ベンチャーズ”には「新しい挑戦」という意味も含まれる。平たんな道のりではないが、“ジャイアントキリング”の精神でチャレンジを続けていく。(デイリースポーツ・伊藤玄門)

 ◆くふうハヤテ 正式名称は「くふうハヤテベンチャーズ静岡」で、運営会社はハヤテグループのハヤテ223。2024年1月にベンチャー企業の「くふうカンパニー」との資本提携により「くふうハヤテ」となる。本拠地はちゅ~るスタジアム清水(静岡市清水庵原球場)。いずれも静岡県出身で元横浜(現DeNA)監督の山下大輔氏がGMを務め、元近鉄で通算139セーブの赤堀元之監督が指揮を執る。

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