【野球】なぜ?スクイズよりセーフティースクイズが多いプロ野球 評論家が分析

 5回、梅野はセーフティースクイズをするも失敗する=18日
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 「阪神2-1日本ハム」(18日、甲子園球場)

 今季2度目のサヨナラ勝ちを飾った18日の日本ハム戦。ルーキー左腕の細野に無得点に抑えられてきた五回無死一、三塁。阪神・岡田監督が絶好の先制機で仕掛けた。梅野への指示はセーフティースクイズ。だが、一、三塁のライン際に転がすことができず、投手前に強めのゴロが転がった。それでも三塁走者の前川が本塁へスタートを切ってしまい、三本間で憤死した。このシーンにおいては梅野のバント自体が失敗であり、投手前への強いバントで本塁に突入しようとした前川の判断も悪かった。

 2死満塁となって近本の中前打で1点を先制したが、そもそもセーフティースクイズを選択するメリットはどんなところにあるのだろうか。

 セーフティースクイズは、どんな球に対してでもバントを試みなければならないスクイズとは異なり、打者がストライクと判断した球に対してだけバントを試み、三塁走者はバントが転がった方向、勢いを見ながらスタートを切るかの判断を下す。飛球になった場合やバッテリーがスクイズを警戒してウエストしたとしても、走者はスタートを切っていないため、アウトになる確率は低い。

 デメリットとしては、投球とほぼ同時にスタートを起こすスクイズとは異なるため、打者には投手や野手が捕球しづらい場所、捕球から送球に移行する際に時間を要しそうなコースに転がすことが求められる。スクイズは最低限転がせば1点を奪う確率が上がるが、セーフティースクイズにおいては転がすことに加えて、コースを狙わなければならないという技量も必要とされる。走者においても、バントのコース、勢い、自らのスタート具合などを瞬時に判断して、本塁に突入するか否かを決めなければならないというセンスが問われる。

 阪神OBの中田良弘氏はセーフティースクイズには、どちらかというと反対の意見を持つ。「どうしても1点を取りたいわけでしょ。だったら普通のスクイズでいいんじゃないか。セーフティーとなると、打者、走者ともに選手の判断に任せる意味合いが強い。ベンチとして1点を取りたいという強い思いがあるなら、選手に責任を負わす作戦じゃなくて、ベンチが責任を追うスクイズという作戦でいいと思う」と語った。

 一方で、「最近は初球からフォークを投げてくる投手も増えてきてるから、スクイズのサインが出た時に当てる、転がすのが難しい面はある。配球パターンを見ながらという面もあるし、ストライクを投げてくる確率が高い2ボールとか、カウントを見ながらという面もあるから、一概にセーフティースクイズを否定できないところもある」との見解も示した。

 近年のプロ野球においては、セーフティースクイズを選択する球団が多いように思うが、1点を争う試合終盤になれば一発勝負のスクイズを選ぶ場面もあり、どちらが正解と白黒つけることは難しい。特に下位打線において、普通に打たせるより得点確率が上がるからという理由もあれば、無警戒な相手の意表を突く狙いがある場合もあり、攻める-守るの心理戦が采配の選択肢に影響を与える可能性もある。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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