【野球】阪神・岡田監督の走塁ミス激怒から3日 積極走塁でサヨナラ勝ち 失敗を成功につなげた選手とコーチが再進撃の合図になる

 「阪神1-0DeNA」(21日、甲子園球場)

 両軍無得点の九回2死一、二塁。DeNA外野陣は単打では生還を許さない前進守備を敷いていた。打席の阪神・小幡も「外野がだいぶ前に来てたんで、(代走の)植田さんでも無理じゃないかと思ってました」と振り返る。

 カウント1-2と追い込まれながらも、内角低めへの150キロのカットボールをコンパクトにさばいた。乾いた打球音と共に低く、鋭い打球が右翼・度会のポジショニングより少し右で弾んだ。

 「(三塁コーチの)藤本さんがめっちゃ(腕を)回してたので、セーフになってくれ!と思ってました」と小幡。捕球から素早く送球されたが、捕手・山本が構えた位置からやや一塁方向にそれたことに加え、ハーフバウンドのワンバウンド送球となった。二塁から代走・植田がヘッドスライディング。山本は懸命のタッチを試みたが、ボールはタッチに向かう途中でミットからこぼれていた。

 植田が振り返る。「コーチが回していたので行ったという感じです」。平田ヘッドコーチから「海、捕ってたらアウト?」と聞かれると、「ギリ、アウトかもって感じです」とコンマ何秒を争うタイミングだったことを明かした。続けて「いいスタートを切ろうと思っていたので。2アウト、2ストライクで。振るくらいの時にスタートするぐらいの気持ちで。打ってくれという感じで願っていただけです」と話し、真っ黒に汚れたユニホームが誇らしげに見えた。

 思えば3日前となる18日の日本ハム戦。今季2度目のサヨナラ勝ちを飾りながら、岡田監督は「ひどいなあ、しかし。こんなにミスするんやな。勝ったとか、そんなん何もないわ」と相次ぐ走塁ミスに激怒していた。

 両軍無得点の五回無死一、三塁で、投手の正面に勢いよく転がった梅野のセーフティースクイズで三走・前川が本塁突入を試み、三本間で憤死。5回無失点だった村上に代打・原口を告げる勝負手を打った1死満塁では、右翼のファウルグラウンドで捕球した万波は体勢を崩していたが、三走・森下はタッチアップできなかった。さらに2死満塁から近本の中前適時打で二走・梅野が本塁に突入せず、七回1死一、二塁では、近本の右翼への飛球で二走・小幡が三塁に進めなかった。

 試合後、岡田監督は代打・原口が右邪飛を打ち上げた場面について「あの体勢で捕って投げれるか?ホームにストライク。何考えてるんや、ホンマ。簡単やんか、行け、言うたら終わりやんか。行くか、行かんかやんか、走塁なんか。行く勇気がないわけやろ、結局は。コーチも行かす勇気がないんやろ、藤本が止めてるんやろ」と語気を荒げた。消極的に映った藤本三塁コーチの指示に苦言を呈し、19日のシート打撃でも走塁面に改善が見られなかったことで「ただやってる練習なんやなって」と乏しく見えた選手、コーチの意識を嘆いていた。

 失敗を成功につなげた2試合連続のサヨナラ勝ち。それでも岡田監督は「いや、そらかえるやろ。あの場面で。何を言うてんの。あんなん(三塁で)止めたら、もう辞めるよ。俺はもう。何を言うてんの、そんなん当たり前やんか」と藤本コーチの本塁突入指示も、植田の懸命のヘッドスライディングも褒めることはなかった。

 右翼正面への打球ではなかった。体勢が万全でないことから、送球がそれる可能性がある。2死満塁で投手・石井の代打にかけるのではなく、ここで本塁突入を選択することが勝負だと岡田監督は当たり前のように言った。

 度会の送球はストライクにはならなかった。藤本三塁コーチは勇気を持って回した。その姿に植田は足をフル回転させ、サヨナラのホームを奪い取った。コーチ、ナインの脳裏とまぶたに残る岡田監督の言葉と怒りが、価値ある3連勝を運んできた。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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