【野球】広島・中村奨成の「とんでもない能力は」1軍でいつ開花?必要なものは? 不退転プロ7年目の現在地「僕らは諦めてない」
広島の中村奨成外野手(25)がファームでもがいている。高卒7年目の今季は不退転の決意で臨んだものの、1軍ではここまで3試合の出場で無安打にとどまっている。今、何を思い、殻を破るために必要なものとは-。本人、コーチの言葉から現状をひもといた。
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日差しにも夏らしい強さが帯びだした21日のウエスタン・中日戦。中村奨成の姿は“まだ”由宇にあった。1軍にいてもなんら不思議ではない能力の持ち主でありながら、この日の2軍戦では「3番・指名打者」でスタメン出場し、3打数無安打。「バッティングの感触は悪くないです。でも結果が出ていない」ともどかしさを抱えつつ、己と向き合い続けていた。
今季の出だしは良かった。春先から好調を維持し、ウエスタンで打率・353の成績を残した状態で開幕3戦目の3月31日に1軍昇格を果たした。しかし、4打数無安打で4月8日に出場選手登録抹消。チームが得点力不足に苦しんでいた中で起爆剤になれなかった。
問われ続けているのは2軍でできている打撃を1軍の舞台でいかに発揮するか-。何年も直面したままの課題を乗り越えるため、今は「甘い球を一発でしっかり捉えること」に取り組んでいる。「1軍は甘い球が1打席に1球来るか来ないかの世界。2軍だと2ストライクからでも甘い球が来る。そこをいかに仕留められるかを意識しています」と現状を明かした。
首脳陣はどう見ているのか。福地2軍打撃・走塁コーチは「とんでもない能力は認めている」とした上で、「ファームで良いピッチャーから打っているかと言われれば、それはまた違う」と中村奨を評価した。現時点で2軍では打率・265、4本塁打、18打点。苦しむ中で一定の成績を残しているが、もう7年目でもある。自ずとハードルは高い位置に設定されている。
同コーチは野球に向き合う姿勢にも言及した。「全体的に隙がある。隙を見せずに全て一生懸命やっていかないと、流れに乗れないし、引き寄せられない」。その『隙』とは何か。「奨成の場合、ガッと野球に集中して、『奨成は変わったよね』と思わせないといけない立場。性格は変わらないと思うけど、気持ちは変えられる。ここで隙が出るということは気持ちも変わっていない」と厳しく指摘した。
今年は1月に護摩行に志願して参加し、外野にも本格的に転向した中村奨。覚悟を決めて臨んだキャンプでは疲れた体にムチを打ち、休日も全返上で汗を流す姿があった。「もう一回2月の気持ちを取り戻してほしい。あそこまでの覚悟ができたなら、貫き通してほしい」と同コーチ。「あんなに良い打撃をするんだから。僕らは諦めてない」と語る口ぶりにも自然と熱が込もった。
中村奨自身も「1軍に割って入って戦力になりたい。そうなれるように頑張りたいです」と強い思いを持っている。現状打破へ-。ネジを巻き直し、結果で全てを変えてみせる。(デイリースポーツ・畠山賢大)