【野球】ポスト・シーズン進出争いをさらに過熱させるため、日本でもメジャー流のシーズン中の大物選手トレードは必要か。

 ユニホームを着用し、ポーズを決める若林=25日
 Lポーズを決める松原=25日
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 ポスト・シーズン進出争いを過熱、さらに面白くさせるため、日本でもメジャー流のシーズン中での大物選手トレードは必要か。

 巨人・松原聖弥外野手と西武・若林楽人外野手の交換トレードが24日に発表され、それぞれのチームに合流した。シーズン中の交換トレードは珍しくはないが、メジャーのそれとはかなり違う。

 メジャーのポスト・シーズンは原則、8月31日時点で当該チームの40人枠(ロースター)に登録されている選手しか出場できない。そのため、ポスト・シーズン出場の可能性があるチームは戦力を充実させるため、下位のチームから主力級の選手の獲得に動く場合がある。MLBでは例年7月31日が40人枠の選手をシーズン中にトレードできるデッドラインで、今後はそこに向けて市場が活性化していくだろう。

 MLBではNPBとは違ってFA権はシーズン終了後に自動行使され、再取得の必要もない。つまり、契約期間満了するたびに自動的に自由契約となるため、ポスト・シーズン進出が絶望的になったチームは近い将来、FAとなる大物選手放出を画策するケースがある。その代わりに、プロスペクト(有望株)・ランキングに名前を連ねている若手選手や一部ドラフト指名権、金銭を獲得する。また、「Player To Be Named Later,PTBNL」という、後日に指名選手を決めることができるトレードも認められている。そのため、下位に沈んでいるチームはそれらを駆使して、チーム再建に乗り出すことになる。

 大物選手を中心としたトレードは「フラッグシップ・ディール」と呼ばれ、下位チームが主力選手を多数放出することは「ファイヤーセール」といわれている。日本でも例外はあるが7月31日まで新規で支配下選手登録できるため、トレードでこの日まで選手を獲得できるが、この「フラッグシップ・ディール」や「ファイヤーセール」とは無縁だ。

 通常、大型トレードや大物トレードが成立するのは公式戦がすべて終了し、冬の時期になったシーズン・オフに行われることが多い。その時期は、日本では「ストーブ・リーグ」と呼ばれてきた。私もその「ストーブ・リーグ」の取材のため、何日も関係者の自宅などを張り込みしたことが何度もあった、

 メジャー流の移籍には大きなマイナス面がある。大物選手を獲得するためには大概、プロスペクト・ランキングに名前のある選手の大量放出を余儀なくされる。獲得した大物選手が活躍すればまだ納得もいくが、逆に戦力にならず、将来性のある若手もいなくなれば長期的なチーム作りに大きなマイナスになる。また、FA間近の大物選手と再契約を結ぶためには、球団は金銭面でも大きな負担を強いられる。

 ただ、ひとりの大物選手がチーム内のムードを大きく変え、ポスト・シーズンに導く可能性もある。日本でも下克上の可能性を残すMLB流トレードはときには必要な時代になるかもしれない。(デイリースポーツ・今野良彦)

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