【野球】ブラジル生まれ打撃投手にあふれる“野球魂” 元ヤクルト・フェルナンデスさん サッカー盛んも1本の映画に感銘

 今年からロッテで打撃投手兼通訳を務めるブラジル出身のラファエル・フェルナンデスさん(38)は、プロ野球選手を目指して18歳の時に来日。白鷗大を経てヤクルトに入団し、プロ初勝利も挙げた。ブラジルといえばサッカーが主流だが、これまでの経歴をたどると、野球一筋に情熱を捧げる人生を歩んでいる。

  ◇  ◇

 フェルナンデスさんは誰よりも熱い“野球魂”を持つ男だ。練習では打撃投手として選手のサポートに徹し、それ以外では母国語のポルトガル語に加え、スペイン語、日本語、英語の4カ国語を話せる敏腕通訳としてチームを支えている。

 野球を始めたきっかけは1本の映画。「名前は覚えていないんですけど…。野球が出てくるシーンが多くて、かっこいいスポーツがあるんだ」と感銘を受けたという。サッカーが国民的スポーツであるブラジルだが、野球に魅了され、「小学校にいた同級生が野球をやっていたので、チャンスだと思って声をかけて、チームに連れて行ってもらった」。長い野球人生の始まりとなった。

 高校時代は3度の全国優勝を経験し、来日したのは18歳の時。「プロ野球選手になるために日本に来た。ブラジルにはプロ野球リーグがないので」と、オファーをくれた白鷗大に入学した。

 最初は言葉の壁もあったが、日本語は学生生活の中で習得した。野球の練習にも励み、2008年度ドラフトでヤクルトから育成1位で指名を受けた。夢をかなえ「すごく良かった」と感慨深そうに振り返る。

 11年6月に支配下登録され、同年8月の阪神戦でプロ初登板、翌年には初勝利も挙げた。「自分にも相手にも負けなかった」と目指してきたプロの世界で成長を実感。WBCブラジル代表として国際舞台でも右腕を振った。

 ヤクルトには5年在籍し、戦力外通告を受けたが、その後も諦めずに複数の独立リーグやクラブチームを渡り歩いた。17年に日本ハムに通訳として入団するが、「『まだ選手としてやりたい』と事情を説明して、トライアウトも受けさせてもらった」。通訳をしながらトレーニングを重ねた。

 「結果は残念だったんですが…」とNPB復帰は果たせなかったが、その後も独立リーグの茨城でプレーした。21年限りで現役引退。ソフトバンクの通訳を経て、今年からロッテにやってきた。

 地球の裏側から夢を追い、日本に来て今年で20年。「アメリカで野球をやりたかったなっていうのはあるけど、それ以外は満足。野球界で仕事を続けられるのは、すごくうれしい」。今も野球への情熱は薄れることなく、マリーンズの一員として燃やし続けている。(デイリースポーツ・南香穂)

 ◆ラファエル・フェルナンデス 1986年4月23日生まれ、38歳。ブラジル出身。右投げ右打ち。白鷗大から2008年度育成ドラフト1位でヤクルトに入団し、WBCブラジル代表も経験。ヤクルト退団後は独立リーグやクラブチーム、一般職を経て、日本ハムに通訳として所属。その後、独立リーグで再びプレーした。引退後はソフトバンクに通訳として在籍し、今年からロッテの打撃投手兼通訳。NPBでの通算成績は10試合に登板し、1勝0敗0セーブ、防御率8・31。

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