【プロレス】史上初の腎臓ドナー女子レスラー・春日萌花が1年1カ月ぶりにリング復帰「病気やハンディがあっても夢をあきらめないで」

移植手術を乗り越え、1年1カ月ぶりにリングに復帰する春日萌花
マルチな才能を持つ春日萌花
闘うお天気お姉さんがついに戻ってくる
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 姉への腎臓提供手術のため昨年6月からプロレス欠場していた女子プロレスラー春日萌花=フリー=が、ついに1年1カ月ぶりにリングに復帰する。

 7月15日、東京・高嶋平区民館で行われるガンバレ☆プロレス「ディザスター・アーティスト 2024」大会(試合開始18時)で、伊藤優作とタッグを組み、勝村修一朗&YuuRI組と対戦する。伊藤は10年前に父親から腎臓を提供されており「腎移植タッグ」がプロレス試合をするのは史上初だ。

 他のスポーツ競技でもドナー側が競技にカムバックした例は過去にはない。特に、激しいコンタクトが求められるプロレスでは、今後も同様の選手は現れないだろう。

 「日本生活習慣予防協会」によるデータでは慢性腎臓病(CKD)の患者数は1330万人で、日本の人口の約10%に近い。腎不全で腎機能が著しく低下した患者に対する医療行為の「人工透析」を受けている人間も約33万4500人にも達している。

 春日の姉もCKDで闘病中だったが腎臓の状態を図る「クレアチニン」の数値は比較的安定はしていた。それでも、2018年の秋に「いつか数値が悪化した時に腎提供してもらえますか」とお願いされていた。その数値が2022年に入り急激に悪化。家族で相談の結果、春日が生体腎移植のドナーになることを決意したという。通常、生体腎移植のドナーは患者の家族(夫婦も含む)で年齢は20歳以上に限られる。その上、ドナー側の腎臓は当然、正常でなければいかない。

 当初、春日は検査を受けて昨年6月に移植手術に備えていたが、直前の5月中旬に体調を崩した。「インフルエンザやコロナではなかったのですが、体調を戻そうといろいろな薬を飲んだりしたのが影響したのかもしれません」と、腎機能が低下する予想外のアクシデントに見舞われ、手術の延期を余儀なくされた。

 結局、手術を受けたのは同年9月。そこから年内復帰を目標にしていたが、試合を万全の状態で行える状態までは戻らず、今年4月27日、東京・北沢タウンホールで行われた新体制となったガンバレ☆プロレスの第1弾興行「スプリング・ブレーカーズ2024」で復帰を発表。今回の出場になっただけに、春日本人も満を持している。

 「今回の自分の手術で心持ちが変わりました。人生何があるのか、分からないでしょ。姉とは2人で長生きしようと約束しているし、腎臓を提供した私が元気な姿で試合をすることで、何か届けられることがあります。腎移植タッグが勝つことも意味があると思います」。

 春日は「闘うお天気お姉さん」として、合格率5%といわれる気象予報士の資格を持ち、ラジオ番組のパーソナリティーも務めるなどマルチな才能を持つ。だが、これからは「病気を持っていたり、ハンディがある人でも夢をあきらめなくてもいいと伝えたい」と、史上初の腎臓ドナーレスラーとしても今後を見据えていく。(デイリースポーツ・今野良彦)

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