【ファイト】那須川天心の相手は苦労人 貧困、虐待…壮絶な過去を克服できたワケを告白

 キックボクシングからボクシングに転向した那須川天心(帝拳)が20日、両国国技館で、4戦目にして初の10回戦に臨む。相手は過去最強といえるWBA世界バンタム級4位のジョナサン・ロドリゲス(米国)。7位の天心より上位のランカーだ。そのジョナサンは、貧困やDVなど、壮絶な幼少期を過ごしてきた苦労人だった。

  ◇  ◇

 ジョナサンが明かしたところによれば、出身はプエルトリコで、8歳の時に家族で米ニューヨークに移住した。貧困と実父のアルコール依存や虐待に苦しみ、「学校でもなかなかうまくいかず、食事もない中、ホームレスシェルターに行ったこともある」という。

 2年後には母や兄とペンシルベニア州に移り住んだが「貧しい生活は変わらず、日々の食事も大変で、友人に食事を分けてくれるよう頼まなければならなかった」と、辛酸をなめた。

 転機は12歳でボクシングを始めたことで、ジムで現在のトレーナーであるインディオ氏と出会う。「周囲に何も言えず、ただ泣いていたりしていた自分の異変に気付いてくれて、この子、どうしたのだろうと話を聞いてくれた」のがインディオ氏だった。

 インディオ氏は実父や実母、兄らと話し合ってジョナサンの親権を自身に移した。「何も恩返しができない」と思っていたジョナサンは成人となる18歳の誕生日に、姓をインディオ氏のものに変更したという。

 アマチュアでは58戦して4敗のみ。ゴールデングローブを獲得し、ジュニアオリンピックにも出場するなど頭角を現し、いまや世界王座挑戦をうかがうまでになったジョナサンを、インディオ氏は「とても特別な子供だと思う。とても謙虚だし、あまり良くない環境で生まれ、貧しい中で育ってきたが、ここまで育ってくれてこういうふうに成長したことをとてもうれしく思っている」と誇っている。

 ペンシルベニア州のフィラデルフィアはボクシング映画の聖典「ロッキー」の舞台として知られる。ロッキーをまねてフィラデルフィア美術館の階段を駆け上がったこともあるというジョナサンは「ロッキーはすごくかっこよかった。小さい頃から『ロッキー』の映画を見ていたし、ボクシングを始めた時はああいうふうになりたいなと思っていた」と回想した。

 ロッキーのように世界チャンピオンとなるためにも、天心戦は落とせない。(デイリースポーツ・藤澤浩之)

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