【スポーツ】バスケ男子・八村塁がパリ五輪出場決断した理由 東京五輪後に誓い合った仲間との約束とは
バスケットボール男子日本代表は、パリ五輪での8強入りを目指す。エースの八村塁(26)=レーカーズ=は、自身のNBAシーズンもある中でなぜ出場を決めたのか-。
3年前の東京五輪。開催国枠で出場した日本はスペイン、スロベニア、アルゼンチンと対決し、3戦全敗に終わった。八村の獅子奮迅のプレーも実らず、全て10点差以上の完敗。12カ国中11位に沈み、銀メダルを獲得した女子代表と比べられ、エースの元には批判の声も多く集まった。
パリ五輪でも結果次第では、同じ声が届くことも考えられる。それでも八村はエースとして出場することを決めた。それは、東京五輪後すぐに仲間と交わした約束があったからだという。
「もう一回、五輪に行こう」。長く代表で共に戦った富樫勇樹(千葉J)、渡辺雄太(千葉J)、馬場雄大(無所属)らと、東京五輪後すぐに誓い合っていた。約束が指す五輪がパリ大会なのか、28年ロサンゼルス大会なのか、32年ブリスベン大会なのかは、当時の誰にも分からない。それでもリベンジしたい気持ちは、日の丸を背負う選手全員が同じだった。
昨夏のワールドカップ(沖縄)。八村はNBAシーズンを考慮して欠場した。日本代表に愛想を尽かしたわけではなく、人生が懸かるNBA新契約の瀬戸際で、さらに来夏のシーズンへ向けて重要な強化期だったから。同大会中は日本代表の動向は常にチェックし、五輪切符が決まった際には炎と日本国旗の絵文字をX(旧ツイッター)に投稿。誰よりも早く仲間の快挙をたたえていた。
本大会では1次リーグB組。初戦のドイツ(世界ランク3位)を皮切りに、NBA新人王のビクター・ウェンバンヤマを擁するフランス(同9位)、世界最終予選を勝ち上がったブラジル(同12位)と対戦していく。どの国も10回に1回勝てるかどうかの強敵だが、主将の富樫は「その1回をこの五輪に持ってくればいい話」と自信を示す。何より八村がいるだけで、“勝てるかもしれない”と思わせてくれるのがチームにとって大きいはずだ。
「東京は僕らとしてはやりきった感がなかった。僕らのレベルが上がっている中で、五輪をもう一度迎えられてうれしい。みんなでプレーできる。東京五輪の思いを含めてパリでは戦いたい」と八村。味の素ナショナルトレーニングセンターで姿を見せたときは、盛り上がった筋肉で身長203センチ以上の存在感があった。初戦は27日。「日本代表でやれることを誇りに思う。NBAでやってきた経験をチームメート、日本のみなさんに見せられたら」。不動のエースが日の丸をもう一度背負って、花の都でチームを8強に導く。(デイリースポーツ・谷凌弥)