【野球】球宴初出場!スペードのエース 阪神・桐敷の強靱な体力の秘密
阪神・桐敷拓馬投手(25)は中継ぎ2年目の今季、進化を遂げている。ここまでリーグ3位でチームトップとなる39試合に登板。岡田監督からの信頼も厚く、ブルペンにとって欠かせない存在となっている。監督選抜で初めてオールスターにも出場する左腕の活躍の裏側に迫った。
「スペードのエース」の存在感が日を追うごとに増している。「一日一日必死にやっている中で、前半戦はここまで、熱出した時期はありましたけど、離脱せずに投げられているので、そこはいいかなと」。桐敷は開幕以降一度も2軍降格することなく、ブルペンを支えてきた。数字がその貢献度を表している。
ここまで中継ぎとして39試合に登板し、3勝0敗、23ホールドで防御率1・96。登板数、ホールド数ともにチームトップ、リーグ3位の数字だ。昨季はフレッシュオールスターを機に後半戦からブルペンに加わり、救援での登板数は25。今季は中継ぎとして初めて開幕を迎え、プロ3年目の前半戦ですでに、キャリアハイの登板数を記録している。
「未知じゃないですけど。ここからは一日一日が初めてづくし」と新たな領域に足を踏み入れている。初めて前半戦でフル回転し、感じたのは「4月から6月までは、デーゲームの土日がほとんど。しんどいというか、生活リズムも崩れる」ということ。7月以降は土日もナイターが増えてくるが、暑い中での登板が一番の変化だった。
そういった中で「疲労はできるだけ抜くようにしています」。時間があれば、室内で20分ほどジョギングをするなど、有酸素運動を取り入れる。サウナに5分入った後、水風呂に2、3分つかる交代浴でも疲労回復。時には3連投もこなす強靱(きょうじん)な体力を生み出している。
中継ぎ2年目を迎え、「去年は毎日切羽詰まって、緊張もありましたけど、今はメリハリがついている」と気持ちに余裕を持てるようになった。僅差、同点、ワンポイントなどさまざまな場面を任されるが「だいぶ慣れてきたかな」と頼もしい。岩崎からは「普段通りやろう」と助言をもらい、いつでも変わらない心構えで挑む。
また、岩崎からは「悪い時の引き出しを多く持っておけよ」というアドバイスも受け、今季は本調子ではない時にクイックも活用。「疲れがたまっている中でも、悪いなりに打者を抑えるために考えてやっている」。試行錯誤を重ね、心に余裕を持たせている。
オフには今季の目標に「50試合登板」を掲げていた。上方修正もできそうだが「まずはしっかり1軍で投げ切ることしかまだ今は頭にない。結果、50試合登板できましたとか、タイトル取れましたとか、そういうふうになれば」と冷静に話す。初の球宴出場も控える左腕が、さらなる進化でチームを支える。(デイリースポーツ・山村菜々子)