NPB経験者が語るタイブレーク制導入の是非 元巨人ビエイラ「すごくいい」 元DeNA今永「きつい」 元ヤクルト・ロブロ「野球IQ試される」

 日本野球機構(NPB)が延長戦で得点圏に走者を置く特別ルール「タイブレーク制」の導入を検討し始めた。米大リーグ(MLB)ではコロナ禍を機に21年から導入され、「延長戦は無死二塁からスタート」が浸透している。かつて日本でプレーし、日米の野球を知る選手たちに意見を聞いた。その是非はいかに。

 巨人のユニホームを着て時速166キロのNPB最速記録をたたき出したのは大切な思い出の一つだ。

 23年に4年ぶりに米球界復帰。今季は2度の戦力外をへてダイヤモンドバックスと契約したチアゴ・ビエイラ投手はMLBで経験しているタイブレーク制を「観客目線」で見ている。

 「ファンは自分が応援しているチームの勝利を期待している。引き分けを見たいわけじゃない。そう考えると、タイブレーク制はすごくいいルールだと思う」

 自身はこれまで延長戦で2度登板。昨年9月17日のナショナルズ戦はイニングまたぎの十一回に失点(自責点はつかず)し敗戦投手に。今月6日のパドレス戦では味方打線が3点を奪った直後の十回裏に1失点(同)したが、逃げ切ってホールドを記録した。

 メジャーの現行ルール「無死二塁から」の登板は過酷だが、剛腕は「僕たちはそのために日々、準備をしている。厳しいとは思わない。特別な経験。NPBにとっても良いことだと思う」と話し、導入賛成の姿勢を見せた。

 メジャー1年目。昨オフにDeNAからカブスへ移籍し、快投を連発している今永昇太投手は「投手目線」で救援投手にかかる負担を懸念する。

 「自分が作ったわけではないピンチから始まる。僕はピッチャーの心境としてタイブレーク制を見てるので、ブルペンの時から準備が大変だと思います。特に裏の攻撃が同点だったらものすごくプレッシャーがかかる場面で投げるピッチャーはきついだろうなと思います」

 昨季までプレーしていたNPBでの導入に関しては、年間試合数がMLBより19試合少ない点に着目。「スケジュールに余裕があるのであれば、野球というのは興行でもあるので(現行制度継続に)一理あるのかなと思う。仮に日本もメジャーと同じ試合数であれば、全然問題ないと思います」とやや否定的な見解を示した。

 00年にヤクルトでプレーし、引退後は指導者の道へ進んだ。

 17年からダイヤモンドバックスを指揮するトーリ・ロブロ監督はタイブレーク制について「ゴーストランナー二塁から始まるルールは大好きだね」と支持。理由として「決着がすぐにつく。基本に忠実でなければいけないし、首脳陣や選手たちの野球IQが試される場である。野球にとっては最高の形であり、見る者はとてもわくわくさせるものだと思う。現場としては投手を温存できるし、投げるイニングが減ることで肉体的負担を軽減できる」と、複数のメリットを挙げ、「導入に賛成だね」と言い切った。

 同監督の言う「野球IQ」。打者は犠打や右打ちの打撃で走者を進めること、投手はインプレーにさせないように三振に仕留めるための投球をすること、はたまた、ドジャースの大谷のような強打者を敬遠で歩かせて一塁を埋め、次の打者で併殺打を狙うなど、さまざまな戦術が考えられる。

 三者三様。結論は同じであっても視点や角度によってタイブレーク制のとらえ方は異なる。是か、非か。NPBでの同制度の導入は時間をかけて検討する必要性がありそうだ。

(デイリースポーツ・小林信行)

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