【野球】阪神・高橋遥人を悩ませた故障部位とは 肘でも肩でもなく「前例ない」手術で埋め込まれたチタンプレート

 肘や肩の度重なる手術を乗り越えた阪神の高橋遥人投手(28)が、1009日ぶりの1軍公式戦登板となった11日・広島戦(京セラ)で1025日ぶりの勝利を挙げた。手術後、復帰を目指す過程で最も左腕を悩ませたのは、肘でもなく肩でもなく手首だった。その理由とは-。

  ◇  ◇

 高橋は4月に2軍で実戦復帰して以降、「今の自分の力を出したい」と口にすることが多い。

 1軍復活星を挙げた11日・広島戦は最速149キロの直球に武器のツーシームなどを交え、5回4安打無失点で7奪三振。2試合連続完封など華々しい活躍を見せた21年を彷彿(ほうふつ)させる投球を見せたが…。理想からは遠いと言う。

 「まだまだ。『今の自分』と受け止めて、もっと良くなってくれることを期待している」

 そう話す理由を問うと、「肩肘に痛みはないです」と言い切る。原因は別の箇所にあった。

 「手首がずっと邪魔している。プレートが入っているので人より硬いし、指先のリリースに近いところなんで、直接すごく邪魔をしてくる」。23年6月に左肩のクリーニング手術と同時に受けた「左尺骨短縮術」が影響していた。

 手首の小指側には、「TFCC」という手首の骨をつないで安定性を保つ複合組織があるが、高橋は靱帯が損傷して緩んでいた。「力が入りづらかったというのがあって。尺骨を短くして(靱帯を)突っ張らせるという感じの手術を受けた」。術後はギプスを利用する選択肢もあるが、骨にチタンプレートを添える形で埋め込んで固定した。

 プロ野球界では「前例がない」と言う手術だった。「投げられなかったのでちゅうちょはなかった」。踏み切った結果、痛みは解消した。

 だが、投球には影響が出た。筋肉に硬さが残り、特に手首を立てて投げる直球とカットボールには苦しんだ。4月に2軍で実戦復帰後は「腕を振る勢いに手首が負ける。だから、真っすぐもカットボールも日によって違う」と、思うように投げられないもどかしさを口にしている。

 「フォームも前とはちょっと違う。腕が違うから、変えたというか変わっちゃっている」。リリース時に体を倒す角度を変えるなど対応に試行錯誤。日々感覚が違うため、「投げながらやっている感じ」と試合では微調整しながらの投球が続いた。最近でも「今も手首の影響はある。探り探りですね。そんなに早く良くなる感じではない」と話した。

 現状を悲観はしているわけではない。「仕方ないでは終わらせられない」。時間の経過とともに良化の兆しもある。「前より力が入る範囲が広がってきているかなと思う。カットボールはちょっとずつ良くなって、決め球というレベルにもなってきているかなっていう感じもする」と前向き。今の力を出し切る調整に専念している。

 今後はプレートを取ることも可能。球団トレーナーによると、骨折や術後の傷口などデメリットもあるというが、「(取っても)投げられない期間はそんなに長くはないと思う」という。

 ただ、今の高橋は目の前しか見ていない。「年齢もそうだし、後がないから一生懸命、今やれることをやって。みんなに助けてもらっているんで」。あらゆる可能性を探りながら、新しいスタイルを探っていく。(デイリースポーツ阪神担当・西岡誠)

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