【野球】中学3年時に頭蓋骨骨折 生死の境から復活し今季プロ初登板を果たしたオリックス・川瀬

 高卒4年目のオリックス・川瀬堅斗投手(22)が今季、育成から支配下登録を勝ち取り、念願の京セラドーム1軍戦登板を果たした。中学3年時に交通事故で頭蓋骨骨折し、集中治療室(ICU)で緊急手術を経験。医師からも「生きていることが奇跡」と伝えられた投手が1軍で充実の日々を過ごしている。

  ◇  ◇

 8月14日、川瀬は1軍で初めて京セラドームのマウンドに立った。「ホームでずっと投げたかったので」。思いを込めた8球。1回1安打無失点とアピールに成功した。

 苦難を乗り越え、プロ野球選手になった。中3の10月、自転車で野球チームの応援に向かっていた川瀬は自動車との衝突事故で頭蓋骨骨折の大けがをした。「ICUにずっと入っていました」。集中治療室での手術が続き、生死をさまよった。

 当時、所属した湯布院ボーイズでの活動は引退していたが、回復後も2カ月弱は病院での入院生活が続いた。幸いにも後遺症や痛みはなく「気分が悪いくらいでしたので、野球ができなくなる不安はありませんでした」。手術にあたった医師から「生きていることが奇跡だ」と伝えられた。川瀬は実感を込めて言う。

 「入院の期間も長く、退院してからも動きの制限などはありました。本格的に野球を再開できたのは大分商に進学した時ですが、後遺症もない。僕は本当に運が良かったなって思っています」

 20年度ドラフト育成1位でオリックスから指名され、今年7月30日に念願の支配下登録を勝ち取った。「正直なところビックリしました」。11日・ロッテ戦(ゾゾ)でプロ初登板し、3回3安打1失点(自責0)と大きな一歩を踏み出した。

 川瀬には目標がある。5歳上の兄・ソフトバンク・川瀬晃内野手との1軍での“競演”だ。

 「『これからは2人で親孝行して、親を働かせないくらい2人で稼げるように頑張ろう』と言われました。早く対戦できる日が来てほしい」

 川瀬の躍動が事故からの再起を目指す人々への励みになるかもしれない。「まだ、僕のことを知らない方が多いと思う。いつか勇気づけられるような存在になりたい。あとは僕の頑張り次第ですね」。奇跡の復活を遂げた背番号94は明るい未来を信じて戦っていく。(デイリースポーツ・関谷文哉)

 ◆川瀬 堅斗(かわせ・けんと)2002年6月18日生まれ。22歳。大分県大分市出身。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。「賀来ヤンキース」で小学校入学前から軟式野球を始め、中学では硬式野球の「湯布院ボーイズ」に所属。大分商ではエースとして活躍し、20年度ドラフト育成1位でオリックスに入団。4年目の今季、支配下登録を勝ち取った。

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