【野球】熱い戦い続く夏の甲子園 知られざるスカウトの一日 楽天・足立スカウトに聞く

 甲子園では全国の頂点を目指し、高校球児たちによる熱戦が繰り広げられている。その中で、プロ球団のスカウトは逸材を見つけるべく目を光らせている。スカウトの一日の動きや注目ポイントを楽天・足立祐一スカウト(34)に聞いた。

 スカウトの朝は早い。夏の甲子園は第1試合が8時開始。シートノックもチェックするため、開門の7時前には球場に着いているという。「5時くらいには起きて、電車に乗っていきます」。足立スカウトは関西地区担当のため、自宅からの通勤となる。

 ただ以前の甲子園は現在の指定席と違い自由席だったため、一般ファンに交じって列に並び、席を確保することもあったという。ただ、3年目の同スカウトは席取りの経験はしていない。

 次々と試合が行われるため、食事時間も限られている。試合を見ながら自席で取ることもあれば、担当地区以外の試合中に済ませることも。最近は酷暑で、スカウトも真っ黒に日焼けするなど体力勝負。ただ、屋根の少ない地方大会に比べ、甲子園には銀傘があるため「(暑さ)対策しないときついですけど、ありがたいです」と感謝。試合を終えると、注目選手をレポートにまとめ球団に提出する。

 甲子園ならではの話もある。全国から12球団のスカウトが集結するため、かなりの人数となる。「3年目になったらわかるけど、1年目は大変でした。この人はスカウトなのか違うのか。あいさつ回りに苦労しました」。自球団のスカウトとの情報交換も行われ、「この子いい選手だなと思ったら話をします。(自分の担当地区の選手が)他のスカウトからどう見えているか聞いたりします」。楽天では最年少のため、経験豊富な先輩の意見はとても参考になる。

 選手のチェックポイントも多岐にわたる。「大舞台で活躍することは大事。緊張してるのかな?とか、落ち着いてやれてるから精神的に強そうとか、そういうところも見ます」。甲子園の大観衆の前でプレーする姿を見ることは、その後、プロの世界で活躍できるかどうかを見極める上でも大切な判断材料となる。

 スピードガンやストップウオッチでさまざまな数値を計測しつつ、「見た感覚」と数字には表れない「素質」や「スター性」にも注目する。「実力も見るけど、どういう子なのか考えています。凡退したらすぐ抜いちゃうとか所作も見ます」。選手とは直接コンタクトできないため、グラウンド上での一つ一つの行動に目を光らせる。

 未来のスター候補が生まれる甲子園。スカウトはその瞬間を逃すまいと選手を見つめている。(デイリースポーツ・滋野航太)

 ◇足立祐一(あだち・ゆういち)1989年9月22日生まれ。東京都町田市出身。現役時代は捕手。桜美林高から神奈川大、パナソニックを経て、2015年度のドラフト6位で楽天に入団。6年間で通算215試合に出場し、77安打、5本塁打、打率・195。21年限りで現役を引退し、22年からアマチュア担当のスカウトとなった。

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