人気アイドルグループ・ＳＫＥ４８のメンバー、荒井優希（２６）がプロレスラーとしてデビューしたのは、２０２１年５月４日のことだった。あれから３年、団体（東京女子プロレス）に三つあるタイトルのうちプリンセスタッグ王座とインターナショナル・プリンセス王座を戴冠し、開催中のシングル最強決定トーナメント「第１１回東京プリンセスカップ」（以下ＴＰＣ）ではベスト４に進出するなど、主力選手に成長している。初優勝をうかがう荒井に、アイドルとプロレスラーの二刀流を続ける心境を聞いた。（デイリースポーツ・藤澤浩之）

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　荒井は５月４日にデビュー３周年を迎え、キャリア４年目に入った。プロレスへの考え方や取り組み方の変化、進化は「ありますね。全然違うなって自分でも思います」といい、こう説明した。

　「最初は挑戦というか、一つ新しいことを初めてみようみたいな感覚でやらせてもらったんですけど、どんどん試合に出るにつれて、自分に期待してくれている人の数とか責任をすごく感じるようになって。今はベルトも持っていますし、ベルトって分かりやすく、東京女子にもいっぱいあるわけじゃない（東京女子のタイトルは三つ）から、興行の中でもベルトを持っている人って強いと見られると思うので、そういった意味でも責任感が芽生えているします。

　最初は自分も周りの環境も、楽しめたらいいよねっていうすごく低いハードルの中でやってやってきたけど、今は楽しむというよりは責任を持って東京女子をもっと引っ張りたいというか。チャンピオンとしてもだし、ちゃんと前に立つ者としての自覚が格段に芽生えているなと思います」

　アイドルとプロレスラーの両立については「あんまり両立してるっていう自覚がなくて。もう４年目なので、これを全部やるのが自分だと思っているので、特にこっちがどうとかそっちがどうとか、そういう別軸で考えてないかもです」という。

　「ちゃんと両立したいとか、まだそういう感情になっていなくて。両方やることが普通だと思うし、礼儀として、東京女子にもＳＫＥ４８にもいいかげんな姿を見せられないというか、自分で決めたことなので、どうやったらできるんだろう？とかじゃなくて、やらなきゃいけないとずっと思っていたので。両立するために頑張ったことはあんまりなくて、そういう気持ちだったらできないのかなと思います」

　ＳＫＥ４８は名古屋、東京女子は東京が拠点だが、「けっこう練習してます。そんなに自信がなくなるほど練習に参加していないわけじゃないので」という。「うまいこと調整して練習にも参加できるようにしていただいているので、環境がすごくありがたいなと思います」と、マネジメントがスケジュールに配慮して練習環境を確保していることに感謝した。

　また、生来タフなようで、これまで大きなケガはない。「たぶん頑丈ですね。ちまちまケガしやすいけど、骨とかはたぶん強くて、親に会う度に感謝しろって言われますね。私、格段に試合で動けなくなったこともあまりないので」と笑う。

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　直近の目標はＴＰＣ初優勝とプリンセス・オブ・プリンセス王座挑戦だが、将来的な理想像はどう描いているのだろうか。荒井は「すごい明確っていうか、こういうのが好きなんだって思えた」時があったという。昨年２月２１日、東京ドームで行われた武藤敬司の引退試合だ。荒井も東京女子提供試合としてリングに上がった。アイドルとしてドームでライブを行ったことはあったが、プロレスは初めてだった。

　「自分が試合した時もすごい感動して、一つのリングに皆が集中している状況はすごいっていう感情になって。その後に武藤さんの引退試合を見させてもらった時に、こんなに大勢の人が同じような気持ちになって１カ所に集中してっていうのがすごい、ホントにステキというか、みんなプロレスが好きで、みんな武藤さんが好きで、こんなに集まるんだって感動して。自分もこういう大きな所でたくさんの人を集められる人になりたいと思ったし、たくさんの人の心を動かせる人になりたいとその時に初めて思いました。（アイドルのドーム公演とは）全然違って、こんなにまたここに立ちたいと思ったのは初めてかもしれない」

　大きな夢に向けて、荒井優希の挑戦は続く。

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　荒井優希（あらい・ゆき）１９９８年５月７日生まれ、京都府出身。２０１３年、ＡＫＢ４８グループのドラフト会議で指名され、ＳＫＥ４８チームＫ２に所属しデビュー。２１年、プロレスデビュー。プロレス大賞、プロレスグランプリで新人賞。２２年、赤井沙希と組んで第１０代プリンセスタッグ王者。今年１月、マックス・ジ・インペイラーからインターナショナル・プリンセス王座を奪取。得意技はＦｉｎａｌｌｙ、新人賞、サソリ固めなど。身長１６７センチ。血液型Ａ。