【野球】ロッテ・カイケルのルーティンへのこだわり 一端が垣間見えたサイ・ヤング賞左腕のブルペン投球

 ロッテに2015年にサイ・ヤング賞を受賞した技巧派左腕のダラス・カイケル投手(36)が入団した。10日に来日し、17日のソフトバンク戦で来日初登板。勝敗はつかなかったが、5回3安打2失点の好投で早くもチームの戦力となっている。メジャー通算103勝のベテランは調整法や身だしなみなど多くのこだわりを持つ。日々のパフォーマンスを支えるルーティンに迫った。

 カイケルは今季でプロ16年目。2012年にアストロズでメジャーデビューし、15年には20勝8敗で最多勝、サイ・ヤング賞に輝いた。メジャー通算103勝92敗、防御率4・04。今季はブルワーズに所属し、7月には大谷(ドジャース)とも対戦した。経験豊富な技巧派左腕には、パフォーマンスを支える多くのこだわりがあった。

 特に投球に関わるルーティンへのこだわりは強い。

 先発登板に向けてブルペンに入る日はもとより、登板前のユニホームの着方にも順番があるという。オフシーズンにキャッチボールを再開する日付も毎年変えていないという。ルーティンというものは、成功体験を再現するために行う。調子が悪くてもパフォーマンスをできるだけ落とさないように、ずっと自らに同じリズムの生活、行動を課してきた。

 17日の先発に向けた15日のブルペン投球では、そうしたこだわりの一端が垣間見えた。

 変化球を交えながら投げ込んだ後、捕手の田村や小野投手コーチとミーティング。身ぶり手ぶりを交えながら、変化球のコースや曲がりについて熱く語った。「自分は新入団の選手。どういう投球をするか知っておいてほしい。とてもいい会話ができた」。細部への詰めも欠かさない姿勢がよく伝わってきた。

 長いひげもこだわりの一つ。数年前にスポーツ専門局ESPN(電子版)のインタビューに答え、1日に10分以上、ひげをとかしていると明かしている。今でもあご全体を覆うほど立派だが、来日にあたって「これでも短い方。8年ぶりくらいに短くした」という。ブルワーズを事実上の戦力外となり、日本での再スタート。覚悟の表れだろう。

 もちろん日本での目的は優勝だが、吉井監督は「彼の経験、技術を教えてもらえれば」と期待する。カイケルも「自分がやっているルーティンやピッチングのコツを若い選手に教えられればいいかな」と呼応する。何事にもこだわり続けてきた13年間。「長いことやっているけどしっかり自信を持って、失敗するなという気持ちで毎年やっている」。日本でも自分の信念を貫き、最高のパフォーマンスを発揮する。(デイリースポーツ・南香穂)

 ◇ダラス・カイケル(Dallas Keuchel)1988年1月1日生まれ、36歳。190センチ、93キロ。左投げ左打ち。09年にアストロズと契約。15年にリーグ最多20勝でサイ・ヤング賞。17年はワールドシリーズ制覇に貢献。24年7月にブルワーズから事実上の戦力外となりロッテへ移籍。メジャー通算103勝92敗、防御率4・04。

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