【野球】なぜ?DeNA・山本が「打てる捕手」として急成長 打率セ5位で規定打席に到達、打撃好調の秘密

 DeNA・山本祐大捕手(25)が貴重な「打てる捕手」として存在感を放っている。現在、打撃部門ではリーグ5位の打率・295。球団で捕手の規定打席到達となれば、2007年の相川亮二(現ディフェンスチーフ兼バッテリーコーチ)以来17年ぶりとなる。BCリーグ・滋賀を経て、ドラフト9位指名からはい上がってきたプロ7年目。努力の指令塔の打撃好調の秘密に迫る。

 30日現在、セ・リーグで規定打席に到達している打者は22人。うち捕手で名を連ねているのは山本が唯一だ。「投高打低」の中、打率3割を超えるのは・314のサンタナ、・300の長岡のヤクルト勢2人だけ。・295で5位につけている山本がいかに特筆すべきかが分かる。

 「捕手は打ってるから出られるというポジションではない。打つことも大事ですけど、試合に出続けるということは簡単なことではないと思っています」。扇の要を守りながらの規定打席に、山本もその価値の高さを感じている。

 京都翔英高からBCリーグ・滋賀を経て、2017年度ドラフト9位で入団。同年のドラフトでは、支配下枠ラストの82人目に名前をコールされた。プロ入り後も、持ち前の反骨心で努力を積み重ねてきた。

 昨季、自己最多の71試合に出場しレギュラー獲りの足がかりをつかむと、今年3月の欧州代表との強化試合では、侍ジャパンに初選出。日の丸を背負い、正捕手の立場を不動のものとした。

 今季の急成長について、石井チーフ打撃コーチは「自分の間合いで打てている。バッティングってそこですから。自分の間合い、自分のポイント、打つべきタイミングを自分で作って打っている感じはすごくある」と話す。「好球必打だからといって何でもファーストストライクを打ちにいくんじゃなく、ちゃんと何球か投げさせてる間に自分の間合い、タイミングを待って打てている」

 三浦監督も「あれだけマークされながら、配球をよく読みながら広角にも打てている」と指摘する。捕手ならではの洞察力の高さが打撃力を向上させている。山本自身も「僕自身、好き勝手に打てばいい選手じゃないので、常に状況を読みながら打席に立つことは心がけています。相手の配球傾向を体現しながらできていると思う」と話す。

 探究心も旺盛だ。「自分オリジナルというよりは、いろんなものを吸収したいと思っているので、いろいろな選手を見て参考にしています」。チームメートの牧や宮崎をはじめ、巨人・坂本や阪神・大山、中日・細川ら右の強打者の打撃を常にチェック。今夏に初出場した球宴では、巨人・岡本和にも打撃の極意を尋ねたという。

 奮闘する背番号50に、17年前に自身も捕手として打率・304で規定打席をマークした相川コーチはエールを送る。「(規定打席は)ひとつの指標ですし、投手のリードやチームの勝敗も背負う大事な役割を果たす中で、その負担もありながら到達することに意義があると思います」

 捕手としては史上5人目の首位打者獲得の可能性も秘めるが、チームは新スローガン「勝ち切る覚悟」のもと、CS圏内への進出、そして優勝争いも決してあきらめてはいない。日々、輝きを増す背番号50が、その怒濤(どとう)のラストスパートのキーマンとなる。(デイリースポーツ・福岡香奈)

 ◆山本祐大(やまもと・ゆうだい)1998年9月11日生まれ、25歳。大阪府出身。180センチ、87キロ。右投げ右打ち。捕手。京都翔英、BC・滋賀を経て17年度ドラフト9位でDeNA入団。プロ初出場は18年5月25日・ヤクルト戦。今季は出場98試合で打率・295、5本塁打、36打点。

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