【野球】高校日本代表・石塚が木製バットに順応できた理由 “プロ仕様”でしなりの感性習得
高校日本代表の主砲のバットから快音が止まらない。今秋ドラフト上位候補の花咲徳栄・石塚裕惺内野手(3年)が今夏の甲子園初戦敗退後から木製バットを使用し始め、U-18代表合宿や大学日本代表との壮行試合で快打を連発。早くも順応を見せている。並外れた実戦力と潜在能力の高さに迫った。
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木製バットを自在に使いこなす石塚が日本代表の4番に座った。しなやかなスイングから強烈な打球が放たれる。強引な打撃になりやすい金属バットの弊害をみじんも感じさせない姿に潜在能力の高さがうかがえた。
高校野球では今春センバツから低反発の新基準バットを導入。木を好んで使う選手も出てきた中、石塚は最後の夏も金属バットで打席に立っていた。今夏の甲子園は8月9日に新潟産大付に初戦敗退。普段から木製バットも使って打撃練習はしていたが、本格的に握り始めてからわずか1カ月足らずで木のバットの特徴を把握した。
甲子園以来の実戦となった代表合宿2日目の8月25日の練習試合・近大戦ではいきなり大学生投手相手からマルチ安打を記録。直球に果敢にスイングをかけ、2本の中前打を放った。高校生よりも力強さが増した球を簡単にはじき返し、「見えない感じはなかった」とケロリ。対応力の高さが光った。
大学日本代表との壮行試合では法大の最速157キロ右腕・篠木から右中間への二塁打を放ってチーム唯一の長打を記録した。「全打席真っすぐに合わせて打ちにいって。最終打席にアジャストできた」。相手投手は1イニングごとに変わったものの、ほとんどが最速150キロを超える剛腕。これまで目にしたことのない球威の直球に対し、わずか4打席で目を慣らした。実戦力の高さが際立ち、視察したヤクルト・橿渕スカウトデスクも「高校生の中に1人だけ大学生がいるみたい」とうなった。
プロ入りも見据え、代表合宿から使用する木製バットを84センチから85センチに変更。「木製バットを早くから使っている選手に負けないように、ワンランク上のことをやりたい」。欲したのはバットをしならせる感覚。ムチのようにスイングしないと上のレベルで通用しないことを理解していた。
代表合宿を視察していた、石塚と同じ花咲徳栄出身のオリックス・岡崎スカウトは「ボールの力をうまく受けてはじき返している」と柔らかい打撃を評価していた。木製バットに順応した逸材が、アジアの舞台でさらなる進化を遂げていく。(デイリースポーツ・北村孝紀)
◆石塚 裕惺(いしづか・ゆうせい)2006年4月6日生まれ、18歳。千葉県八千代市出身。181センチ、82キロ。右投げ右打ち。幼稚園年長から勝田ハニーズで本格的に野球を始め、村上東小6年時に千葉ロッテマリーンズジュニアに選出された。村上東中では佐倉シニアに所属。花咲徳栄では1年秋に三塁のレギュラーとなり2年春から正遊撃手。50メートル走6秒2、遠投100メートル。高校通算26本塁打。