【サッカー】なぜ町田は首位陥落したのか 浦和戦で起きた〝異変〟 再出発を決意「目標に向かって地に足を着けて」

 初のJ1挑戦で快進撃を続けてきた町田。だが、8月は1勝3分け1敗と勢いに陰りが見え、前節8月31日の浦和戦に2-2で引き分けて、約3カ月ぶりに首位の座を明け渡した。今夏の補強では日本代表のMF相馬勇紀(27)、DF中山雄太(27)らの大型補強に成功したにもかかわらず、なぜ失速したのか。浦和戦では、これまでの町田になかった“異変”があった。

 リーグ最少失点の町田を率いる黒田剛監督が「あれはもう絶対にやっちゃいけない。あり得ない」と嘆くほど、やってはいけない形での失点だった。浦和戦の後半42分、左からシンプルなクロスを上げられると、フリーでゴール前中央に駆け込んだFWチアゴサンタナに頭で合わせられ、勝ち越された。ゴール前での守備コンセプトを徹底し、開幕から28試合、ポンと上げるクロスからの失点が0だった。それだけに、ほころびが印象強く映った場面だった。

 チアゴのマークに間に合わなかったDF杉岡は、グラウンドに倒れ込んで悔しさをあらわにした。チアゴの前後にいたDFは杉岡と中山。どちらも途中加入の選手で、黒田監督は町田の守備コンセプトに染まりきれていなかったと分析する。「この2、3試合に関してはすごく良かったから、だいぶ習得できたと思ってたんだけど…。一瞬そういったところを見せるあたりが、まだ新加入選手のこだわりの低さというか、全くわれわれのコンセプトからやっぱり逸脱するような判断と対応だった」と指摘した。

 的確な補強に成功したが、強さの源だったキャンプから徹底するチームの共通理念に順応できなければ、総合力は落ちてしまう。攻守の要だったMF平河が海外移籍で抜けたこともあり、チームが大きく変わる難しさが表れた形だ。ただ、黒田監督は「それは言い訳にしたくない。そこを詰めていくのがわれわれの仕事だし、一概に選手のせいということでなくて、われわれのアプローチでも問題があると思う」と責任を口にする。

 同戦の前半37分には左サイドのFKから、キッカーのボールをFW関根に直接右足で合わせられて失点した。指揮官は「リスタートの守備は、こぼれ球とかそういったのはあるかもしれないけど、(ドンピシャは)多分ないと思う」と、チームの強みが攻略された2失点だった。ただ、黒田監督は「最後の最後で失敗が出るよりは、この時点で良かったのかもしれない」と、残り9節での修正に目を向ける。

 2位に後退したが悲観することはない。9月28日には“天王山”の首位広島とアウェーでの直接対決が控えており、自力優勝の目も残っている。指揮官は「やっとスタート台に立ったぐらいのつもりで、一つになって一戦一戦を戦う。皆さんが期待する目標に向かって地に足を着けてがんばっていきたい」と再出発を決意。新戦力とチームコンセプトがガッチリと融合すれば、さらなる強さを手に入れ、逆転での初優勝も見えてくるはずだ。(デイリースポーツ・松田和城)

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