【野球】21年のプロ生活に幕 青木宣親のすごさとは何なのか ヤクルトのコーチ陣が明かしたこと

 長野(左)と坂本(右)から花束を渡され、笑顔を見せる青木(撮影・佐藤厚)
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 ヤクルト・青木宣親外野手(42)が13日に、今季限りでの現役引退を表明した。プロ生活21年間を走り抜く強さ、改めてベテランのすごさとはどこにあったのか。若くから指導に当たった杉村繁打撃コーチ(67)、晩年を支え続けた大松尚逸打撃チーフコーチ(42)が思い出とともに語った。

 晴れやかな表情で、青木は「幸せな野球人生だった。やり残したことがない」と言った。苦難を乗り越えるたびに強く、たくましくなった。走り抜けたプロ野球21年間がまもなく終焉(しゅうえん)を迎えようとしている。歴代5位の日米通算2723安打に裏打ちされるすごさとは-。2人の打撃コーチが証言する。

 入団当初から指導した杉村打撃コーチは、昔話に目尻のシワを色濃くした。「室内50度ぐらいのところで、氷持ってさ。ショートゲーム投げていたのがなんか懐かしいよ」。数々の偉業は努力の上に成り立っている。

 今では主流となった打席での“姿勢”をいち早く取り入れていたのも青木だった。杉村コーチは「メジャーに行く前から今の(時代の)野球を1人でやっていた。追い込まれたらファウルで粘る。昔そういう打者はあまりいなかったから」とうなずき、「もう常に野球のことが頭にある。野球小僧だから」と笑った。生き残るには厳しい世界。考え抜かれた至高な思考で、道を切り開き続けてきたのかもしれない。

 そして、晩年の青木を支えたのは大松打撃チーフコーチだった。そのすごさを問えば、「探究心と向上心。そこに尽きると思います」と即答。すぐに「正解がないわけじゃないですか。でもやっぱり、どんな苦しいことからも逃げなかった」と続けた。一切、妥協のない準備と練習がある。二人三脚で取り組んできたティー打撃を、「僕には勉強の時間」と笑った。

 「俺はこう考えるんだけど、どう思う?」

 「僕はこう思って見ていたんですけど、やってみてどうですか?」

 互いに質問をぶつけ合い、交わし続けた野球談議がある。大松コーチも「実績のない僕の意見でも、『やってみようよ』『取り入れてみる』って、すぐにやってみる。一切妥協のない青木さんと、自分がコーチとして出会えたのが財産」と巡り合わせた縁に感謝の思いは尽きなかった。

 誇り高きNPB通算打率・3128。だが、数字以上に青木がもたらしたものは大きかったように感じる。「あの小さな体で7球団もメジャーでやったんだから。すごい男だね」とは杉村コーチ。存在の大きさゆえに、寂しさが消えることはしばらくない。(デイリースポーツ・ヤクルト担当 松井美里)

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