【ファイト】絶対エースが心境の変化を告白「節目があったのかな。大きく変わった」 東京女子プロレス・山下実優

笑顔で取材に応える山下実優=東京・新宿
ビッグショー「WRESTLE PRINCESS V」をアピールする山下実優=東京・新宿
りりしい表情でポーズを決める山下実優=東京・新宿
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 東京女子プロレスの山下実優(29)が、ビッグショー「WRESTLE PRINCESS V」(22日・幕張メッセ国際展示場展示ホール6)で、伊藤麻希(29)とのペア「121000000(ワントゥーミリオン)」として、遠藤有栖(26)と鈴芽(25)のペア「でいじーもんきー」が保持するプリンセスタッグ王座に挑戦する。2013年の旗揚げから参加している絶対エースが、20代最後の年を迎えた心境や、自身と団体の未来、タイトルマッチなどへの思いを明かした。(デイリースポーツ・藤澤浩之)

  ◇  ◇

 山下と伊藤は昨年3月に同王座に就いたが2週間天下に終わり、「こんなんじゃ終われない」と悔しさを胸に秘めていた。ペアを組む伊藤は、「苦しいも悲しいも素直に見せられない。11年間ずっと『強くなきゃいけない』をモットーにやってきた」山下とは、対照的な存在だという。

 「いいものも悪いものも全部見せる。今苦しい、今悲しい、けど頑張っているみたいな、私とは真逆の思考がうらやましく見えたりカッコ良く見えて。そこまでさらけ出せるってすごい。強さも弱さも全部さらけ出した上で、自分を好きになってやるとか、強く言えるのはかっこいい。一本筋の通った正義、見せたいものがあるからかっこいいし、もういいや、やろうよみたいなところがブッ飛んでるというか、すごい」

 だからこそ「パートナーとして私は伊藤しかない、伊藤も私しかいないと思ってる」という。対照的な2人だが「互いのプロレスの理想像が一緒。一致してるからやっていける。伊藤と戦った時によく思うのは、伊藤としか行けない境地に行ける」という、かけがえのない存在なのだ。

 一方のでじもんは山下や伊藤より一世代下で、団体で最も勢いがあるペアだ。山下と伊藤も昨年の戴冠時に「どんどん駆け上がっていきそうな2人だったんで。ゾクゾクする相手と戦いたいので」と、逆指名を考えていた。

 「回り回って挑戦するのは燃えますよね。私たちの目に間違いはなかったなって。(魅力は)何してくるか分かんないところじゃないですか。引き出しというか光り得るものはもっとあると思う。まだ出してないもの、自分たちでも気付いていないようなものを引きだして、それを食ってベルトを巻きたい」

 勝負の鍵は世界観だと指摘する。「どっちの世界観に取り込むかが鍵だと思います。引き込んだ者勝ちだなと」。

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 山下は団体最高峰のプリンセス・オブ・プリンセス王座を4度獲得し、通算19回防衛したが、これはダントツの数字だ。まさに絶対エースだが、3・31両国国技館大会で渡辺未詩(24)に敗れて失冠し、心境の変化があったという。

 「未詩との戦いで節目があったのかな。今まで目標を立てて、それを追いかけて駆け抜けてきた。11年目になって何を目指すのかってなった時に、目標を決めなきゃっていうのが癖になっていたので焦っていたけど、最近は楽しければいいでしょって。勝負の中で勝ちに行くのは変わらず中心に置いて、楽しめばいいわって切り替えてからは、わりと迷わず来られているなって。そこは11年目になって大きく変わったところかな」

 現在の東京女子は全3タイトルを20代半ばの選手が占めている。世代交代を指摘されることもあるが、山下は「それで東京女子が面白くなっていればいいかな。こちらも追いがい、戦いがいがある」と歓迎する。

 「私は今まで追われる立場だった。追う立場というか挑戦する立場が増えて来たら来たで、今まで経験したことないので、それはそれで楽しい。世代って言われれば言われるほど私はすごく燃える。面白くなってきた」

 旗揚げから今に至るまで参加し、中心選手として戦って来たからこそ、団体全体も見渡せる。

 「(団体も)11年目なので、今までやってきたものを残した上で新しいものを生み出していかないといけないのかな、皆で試行錯誤していかないといけないなと思っていて。最初はすごく受け入れられていない感を感じていたのが、年々、東京女子のこの見せ方で良かったなって思えるようになってきたので、方向性は間違っていないと思ってる。どんどん武器というか楽しんでもらえるものを増やしていけば、このまま突き進めるかなと思っています」

 山下は東京女子の魅力を「自由」だという。

 「自由がゆえにムチャクチャ難しい。考えていかないといけない。いろんな感性を持ってる子たちがいっぱいいるので、ホントに休まることがない。11年目の私でもどんどん考えていかないといけない。なんでそんな考え思いつくの?みたいな、いろんなものを武器に出してくるんで、そういうところが強いと思いますね」

 3月で29歳になった山下に、20代最後の年を迎えて今後のキャリア形成をどう考えているのか聞くと「それを考えるのを最近やめました」という答えが返ってきた。

 「10年20年やるかもしれないし、ポッと『辞めます』って言うかもしれないし、死ぬまで続く可能性もあるし、気持ちに任せようって思います。プロレスってずっとできる、でも辞めようと思ったら辞められる。だから好きな時に辞めようかなって感じです」

 山下自身の考えもまた、より自由に広がっている。半年ぶりのタイトルマッチでは、新しい山下、そして121000000が見られそうだ。

  ◇  ◇

 山下実優(やました・みゆう)1995年3月17日生まれ、福岡県出身。17歳で上京し、2013年デビュー。団体最高峰のプリンセス・オブ・プリンセス王座を4度(初代、5代、9代、13代)と史上最多の4度獲得するなど、東京女子の絶対エースとして君臨。得意技はクラッシュ・ラビットヒート、アティテュード・アジャストメントなど。身長165センチ。血液型A。

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