【野球】カープ一筋13年 ベテラン右腕がチームに残したモノ 投手最年長として慕われた野村

 広島・野村祐輔投手(35)が今季限りで現役を引退する。カープ一筋13年のベテランは、新人王、最多勝に輝くなど多くの功績を残した。経験豊富な右腕がチームに残したモノとは-。チームメート、首脳陣の言葉から、その足跡に迫る。

 野村はここまで通算80勝を積み上げてきた。「余計、喉が渇いてしまう感じが嫌」という理由から、夏場の水分補給はスポーツドリンクではなく水を好む35歳。近年は直球とカットボール、ツーシームを同じ球速帯にしており、狙いを尋ねると「カットボールもシュートも、あまり変化させようとは思っていない。大きく曲がってほしいという思いはなく、直球に見えて少し動いてくれたらいい」と語っていた。

 その考えに至った契機は、当時現役だった黒田博樹球団アドバイザーに助言を仰いだ時。「黒田さんもツーシームを投げられるので『どういうイメージで投げていますか?』と聞いたら『最悪、曲がらなくていい』と。それより真っすぐに近いボールを投げられればという話でした」。レジェンドからの教えを自らに還元し、打者を打ち取るすべを探った。

 ここ数年は1軍に定着できなかったが、ひたむきに野球と向き合った。2軍の練習前には早めに始動してストレッチ。練習開始時間になると投手と野手に分かれて集合するのがチームの通例だが、高橋2軍投手コーチは「集合時間になると、人一倍、汗をかいていた」とベテランのたゆまぬ努力を間近に見てきた。

 顔の前にグラブを構え、ゆったりとしたワインドアップから腕を振る投球フォーム。この投げ方に同コーチは「投手としての基本が詰まっている」と話す。「若手に持論を伝えてくれる。(投球の)メカニックの説明ができる投手。とてつもない球速が出るわけではないが、あれだけ投げられた。それだけ秀でた投手だったということ」と称賛した。

 投手最年長として同じ先発陣からも慕われた。大瀬良は「『こういう先輩になりたいな』と思わせてくれる先輩。どんな時も黙々と準備を重ねていく姿は、学ぶ部分が多くあった」と自らの指針になっていたと語る。

 床田は「僕がプロに入って技術的なことを一番聞いた先輩。間の取り方とか、カーブを磨きたいと思った時、すごく分かりやすく教えてくれた。引退試合で泣かないようにしたい」と寂しさを募らせた。12年に新人王に輝き、16年はベストナイン、最多勝、最高勝率の勲章を手にした。カープ一筋13年の野球人生。背番号19がチームに残した多くの“財産”は後輩たちに継承されていく。(デイリースポーツ・向亮祐)

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