【野球】9月に歴史的大失速した広島 参謀役・藤井ヘッドが明かすチームの力量と来季への課題
今季の広島は新井政権では初のBクラスとなる4位でシーズンを終えた。9月を首位で迎えながらも、同月は5勝20敗という歴史的な失速で坂道を転がり落ちた。指揮官を参謀役として支える藤井彰人ヘッドコーチ(48)が感じたチームの力量と来季への課題とは。
誰に聞いても同じような答えが返ってきた。9月の失速した原因は何なのだろうか?そんな問いに対する首脳陣や選手たちの答えは「分からない」で一致していた。打線が点を取れず、強固な投手陣の失点が増えたというのは結果論の話。そこに至るまでに肉体面、精神面のさまざまな要因が絡まり、ドロ沼にはまり込んでいった。
藤井ヘッドも「分からない」と答えた中の1人。たくさんある失速の原因を一つには絞れないという印象だった。苦しい9月の日々を「(それまでは)野手がピッチャーにカバーしてもらっていたけど、9月に先発に疲れが見えたのか、踏ん張れなかった。痛い負けもあって、悪い流れに乗っちゃったかなという感じですかね」と振り返った。
同じ轍(てつ)を踏まないために首脳陣はマネジメントをしてきた。昨季は8月にケガ人が続出して優勝争いから脱落。その経験を糧に今季は8月の9連戦も8人の先発投手で回す大胆な策に打って出た。中堅以上の野手には休養も与えた。その状況で8月を首位で終え、全ては計画通りに進んでいると思われた。
しかし、ふたを開けてみればスパートをかけることすらできなかった9月戦線。同コーチは「これが力だったんだって思いたくないですけど、この中でやっていくのは厳しかった。厳しくても、もっとうまいことできなかったかなと。自分に怒っています」と言った。人事を尽くしたが報われず。目を覆いたくなる9月の結果がこれまでの歩みさえも揺るがしている。
巻き返しへ燃える来季。藤井ヘッドは最も必要なものに「真の4番、真のエース」を挙げた。新井監督は5日の最終戦セレモニーで「秋季練習、秋季キャンプ、厳しい練習になると思います」と予告。劣勢も全て跳ね返してくれる投打の大黒柱を誕生させられるかが、来季悔しさを晴らす鍵になってくる。(デイリースポーツ・畠山賢大)