【野球】広島の20歳ドラ1右腕・斉藤の現在地とは 春季キャンプで黒田球団アドバイザー絶賛の逸材 8月に右肩故障で離脱も

 広島・斉藤優汰投手(20)は2年目の今季、ウエスタンで7試合に登板し、0勝3敗、防御率6・11で終えた。8月にはプロ入り後初の故障も経験。抜群のポテンシャルを持つドラ1右腕の現在地に迫った。

 プロ2年目は大きな注目を浴びるところから始まった。2月のキャンプ。黒田博樹球団アドバイザー(49)から「持っているポテンシャルは非常に高く、吸収力も高い。球自体も非常に力がある」と太鼓判を押されると、オープン戦では自己最速を更新する156キロを計測。開幕は2軍で迎えたものの、今季中の1軍デビューへの期待は高まっていた。

 ウエスタンで経験を積んでいたが、異変は突然訪れた。8月上旬に右肩のコンディション不良を訴え、そこから約2カ月間の離脱。「今まで肩、肘は(けがを)やったことなかった」とプロ入り後初の故障だった。

 同じ失敗を繰り返さないために、メンテナンス面を見直した。新たにプールでのトレーニングを取り入れるなど、強い体作りに着手。「けがをしてから改めて、ケアを大切にするようになった」と、プロとしての自覚もより一層強く持つようになった。

 実戦から離れた期間で、フォームの修正も行った。意識しているのは体を縦に使うこと。「真っすぐは左右にずれるんじゃなくて、上下でずれてほしい。体を縦に使って上からたたけないとそうはならないので、意識しています」。カーブやフォークといった縦の変化球を生かすためにも直球の質を追い求めている。

 高橋建2軍投手コーチ(55)も「ポテンシャルは申し分ない」と能力の高さを認めた上で「まだプロで活躍する体力はない」と指摘する。「調子の波が激しい子。いい時は結果を出せるんだけどね。メカニック的なところでまだ能力を出し切れていない部分もある」と話した。

 フェニックス・リーグでは12日・サムスン戦で先発。3回2安打無失点で最速は151キロを計測した。昨秋の同リーグでは直球が130キロ台に落ち込むなど、苦しい時期を過ごしていただけに同コーチは「いいパフォーマンスだった。球の力も戻ってきている。これがベースになってくれれば」と期待を寄せた。

 「コンディションは問題ないので、自分の課題としっかり向き合っていけると思います」と斉藤。来季の飛躍に向け、収穫の多い秋にする。(デイリースポーツ・高橋涼太朗)

 ◆斉藤 優汰(さいとう・ゆうた)2004年5月27日生まれ、20歳。北海道出身。189センチ、94キロ。右投げ左打ち。投手。苫小牧中央では甲子園出場経験なしも長身からの151キロ(当時)の直球など将来性を見込まれ22年度ドラフト1位で広島に入団。1軍登板はなし。推定年俸800万円。

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