【ゴルフ】今平周吾の「やる気」を感じた瞬間 “相棒”柏木キャディーが明かす裏側 日本OP選手権でメジャー初制覇

 10日から13日まで行われた男子ゴルフの日本オープン選手権で、最終日に首位と1打差の3位から出た今平周吾(32)=ロピア=が68で回り、通算4アンダーでゴルファー日本一に輝いた。2018、19年の賞金王も、国内メジャータイトルは初制覇。17年から一時を除いてエースキャディーを務める柏木一了(かずのり)氏(56)が「やる気」を感じた大会期間中の姿とは。

 最終日、今平は最終18番で20メートルのバーディーパットを沈め、初の国内メジャー制覇を果たした。4日間の戦いは、1学年上の実力者である木下と最後までもつれ、72ホール目で決着。劇的なバーディー締めに、普段は寡黙な男が珍しく感情を表し、グリーン上で雄たけびを上げて力強く拳を握った。

 18、19年に賞金王に輝き、23年までに9勝を挙げながらメジャータイトルとは無縁だった。ただ、勝利へ打つ布石を戦前からのぞかせていた。長年バッグを担いできた“相棒”の柏木キャディーは、大会期間中に見せていたわずかな変化から感じ取っていた。

 「今日はなぜか(スタート時間の)1時間前に来た。普段は50分前くらいなのに、今週は全体的に早かった。やっぱりやる気になってんだなって。気合入ってんだなって」

 通算12勝の宮本勝昌に「天才肌」と言わせる今平だが、練習ではあまり球を打たない。普段のトーナメントではコースでの調整時間は短く抑え、ラウンド後の修正は必要最低限にとどめて、ささっと帰る。夏場の試合のない日には、練習場にこそ向かうが「駐車場がいっぱいだった」という理由で、家から出て15分で帰ってくることもある。アプローチ練習に至っては年に2回ほどしか行わないという。

 日本オープン選手権に向けて、たった10分早くコースに到着して調整時間を増やしただけ。ただ、それは「やっぱり(試合に)体力を残しておきたいのと、あとはストレスをあまりためたくない」という今平のポリシーを考えれば、柏木キャディーにやる気を感じさせるのには十分な時間だった。

 もっとも、練習嫌いというわけではない。コース外では地道な努力を重ね、常に試行錯誤している。今季は飛距離のある若手に対抗するために増量を図った。体の大きさとスイングがかみ合わず、8月には3戦連続予選落ちを喫すると、今度は食事制限を取り入れて動きやすい体を取り戻した。

 ツアー終盤戦を迎えながら、今季は大会前まで未勝利で、17年の初優勝から6季続けていたシーズン連続優勝記録が途絶えるピンチだった。だから、柏木キャディーと2人で「どうしても残りの試合で勝って(記録を)続けようと。また一からやり直したときには40歳」と言い続けてきた。そして、有言実行の7季連続V。尻に火が付いた今平は強かった。(デイリースポーツ・中谷大志)

 ◆今平周吾(いまひら・しゅうご)1992年10月2日、埼玉県入間市出身。父の影響で8歳のときにゴルフを始めた。埼玉栄高1年時の08年日本ジュニアで松山英樹を破って優勝した。09年に高校を中退して米フロリダ州にゴルフ留学。11年にプロ転向し、17年の関西オープンでツアー初優勝。18、19年には賞金王に輝いた。ツアー通算10勝。165センチ、67キロ。

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