【ファイト】初メイン&最強挑戦者決定戦に臨む渡来美響 世界を目指すため「最大限いま自分に投資して、いい経験をしたい」

26日に最強挑戦者決定戦に臨む渡来美響
勝ち名乗りを受ける渡来美響=2月13日、後楽園ホール
26日に最強挑戦者決定戦に臨む渡来美響
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 ボクシング日本スーパーライト級1位の関根幸太朗(26)=ワタナベ=と2位の渡来美響(25)=三迫=が、26日に後楽園ホールで最強挑戦者決定戦を行う。初のメインイベントに臨む渡来が、現在の心境や日本王座の先に見据える世界タイトルマッチまでのロードマップ、無敗の5階級王者フロイド・メイウェザー・ジュニア(47)=米国=一推しの天才児と今夏に行ったスパーリングなどについて語った。

  ◇  ◇

 9勝(8KO)1分の関根との無敗対決に臨む5勝(3KO)の渡来は「相手が全勝であろうが、やることは変わらない。今まで通り自分が勝つだけって思っています」と言い切った。

 「KO率が高い選手なのでパンチがあると予測して、打たれないことを一番に重要視して」準備しており、「考えられるパターンをいくつか用意しておいて、それに合わせて(試合を)展開していく形にはなると思う。理想としては、いつも通り僕が打たれずに一方的に打って、一番いいのはKOで倒すことだと思います」と語る。

 一方で「今ひたすらに自分のボクシングのクオリティーを上げていくっていう。技術にしても体力にしてもスピードにしてもパワーにしても、全ての面を上げていくことを一番に考えてやっているので、そこまで対誰々というのは考えてはいない」とも言う。相手対策よりも自らのボクシングの向上を重視しているのは、常に世界を意識しているからでもある。

 「ジャーボンテ・デービス(WBA世界ライト級王者)とかシャクール・スティーブンソン(WBC世界同級王者)とかテオフィモ・ロペス(WBO世界スーパーライト級王者)とか本当の世界のトップとやった時に、これじゃあダメだよなとか、そういうところを一番に考えてやっている」

 渡来が理想とするスタイルはメイウェザー。抜きんでたディフェンス技術で50戦50勝のパーフェクトレコードを誇り、パウンド・フォー・パウンド最強の呼び声も高かった一方、ディフェンス重視でポイントアウトするキャリア後半のスタイルは賛否両論を呼んだ。渡来はKOが少なく一見、一般ウケしなさそうな後期メイウェザーのスタイルを目指す真意を、こう説明する。

 「僕はそこ(一般ウケ)はそこまで重要視していなくて。エンターテインメントなので、お客さんに見せるものではあるけど、僕がどれだけ完璧に近い選手であるかが重要だと思っているので。メイウェザーも打たれないから強いので、誰も勝てないっていうところで『今度こそ、この選手とやったら負けるんじゃないか』という方向に予想がみんななっていって、そうなると自然と人気が出てきてお金もついてくる。それが自然な形だと思うので、まず今は僕はいかに完璧な試合をするか。お客さんが『一方的すぎてつまらないよ』って言うぐらいでいいと思っています」

 昨秋、5週間にわたって米ラスベガスにあるメイウェザーのジムでトレーニングし、メイウェザーとも対面。今年も7~8月に1カ月間、メイウェザーのジムで再びトレーニングを行った。大きな収穫だったのは、メイウェザーの一推しで、輝かしいアマ戦績を引っ提げて昨年9月にプロデビューしてから6勝(5KO)と快進撃を続けるカーメル・モートン(18)=米国=と、3度にわたってスパーリングを行ったことだという。

 「本当に天才だな、確実に将来的に世界は取るだろうっていうような選手。そういうこれからトップになるであろう選手と拳を交えて、意外といいスパーリングができたので、自分でも技術的に世界レベルの選手とやっても遜色がないんだということが確認ができたので、そこでの経験で自信がついたというところが一番だと思います」

 日本のジム制度と異なる米国では「同じジムに毎日行っていても毎日違う選手が来る、スパーリング選手の豊富さですね。毎回違う選手とできる」という利点もある。日本ではスーパーライト級は重い階級で、スパーリング相手探しが難しい面があるが、米国では「ライト級、スーパーライト級は人口が多いので相手に困らない。あと、2階級3階級離れてようが関係なくやる。こっちではなかなか考えられないようなスパーリングのマッチメークをしていく」と、その心配はない。

 円安で米国暮らしは楽ではないが「お金で解決できる部分は最大限、今、自分に投資して、いい経験をしたいと思って行ってます」という。

 今25歳。世界までの道程をどのように描いているのか。渡来は「ボクサーの寿命は30代中盤ぐらいまでたぶん伸びているとは思うけど、選手としていい時期は20代で終わると思います。そこからはいかに技術を伸ばして、身体的な部分が落ちていくのを上回って技術が増えていくか」と指摘し、「27~28歳ぐらいまでには世界タイトル(マッチ)ができるようになるのが、僕の体的にはベストだと思っています」と話した。

 スーパーライト級の日本人世界王者は米国籍の藤猛を含めても過去3人しかおらず、32年間出ていない。現在、世界ランクが1ケタなのも、9月にWBA世界王座挑戦者決定戦を制したWBA1位の平岡アンディ(28)=大橋=だけだ。

 渡来は関根、勝てば来春のチャンピオン・カーニバルで挑戦することになる日本王者の李健太(28)=帝拳=という壁を突破し、その先の世界を視界にとらえることができるか、刮目したい。(デイリースポーツ・藤澤浩之)

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