【野球】巨人が涙をのんだCSで浮かび上がる日程問題 「ちょっと日程が空きすぎる」と発言した菅野の懸念が現実に 課題は解消されるのか

 8回、力投する菅野=21日
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 「JERA CSセ・ファイナルS・第6戦、巨人2-3DeNA」(21日、東京ドーム)

 強い者が勝つとは限らない。それが勝負というもの。ただ、戦う条件が横一線でないことには、ある種の不満も出る。セ・リーグのCSファイナルSで、4年ぶりにリーグチャンピオンに輝いた阿部巨人が、DeNAに敗れて日本シリーズ進出を絶たれた。

 阿部監督は「勝たしてあげられなかった。申し訳ない。こういう難しいポストシーズンを勝たせてあげられなかったのが一番」と敗北の責任を一身に背負い込み、リリーフ登板から決勝打を浴びた菅野は「みんながつないでくれた登板だったので結果で応えたかった。でも全部のボールに悔いはないし、最善の準備をしてマウンドに上がったので。結果としては申し訳ない。でも、きょう投げたボールに悔いはないです」と涙ぐんだ。

 エース・戸郷を立てたファイナルS初戦からまさかの3連敗を喫しながら、そこからの2連勝でアドバンテージの1勝を含む3勝3敗と持ち直した。勝つか引き分けるかで日本シリーズ進出を決められた21日の第6戦。戸郷を先発に立てながら2点のリードを守れず、最後は今季最多勝の菅野が崩れた。DeNAは下克上を成し遂げ、12年ぶりの日本一を目指した巨人の戦いは幕を閉じた。勝負とは非情なものだ。

 パ・リーグはリーグ王者のソフトバンクが、2度の逆転勝ちでファイナルSに駒を進めた日本ハムに3連勝して格の違いを見せつけた。ただ、巨人・菅野は戦前、「ちょっと日程が空きすぎるので、ちょっとここは考えてほしいなって思うところではあるんですけど。本当に空きすぎるなって、これはマジで思うので。やっぱり日程見直しというのは必要だと思います」と訴え、阿部監督は敗退後、日程面への直接的な不満は漏らさなかったが「調整もそうだし、なかなか思うように機能しなかったし、させてあげられなかった」と唇をかんだ。

 皮肉にも菅野の懸念が的中する結果となった。第2戦に先発した右腕は7回6安打2失点と奮闘したが、初戦で完封負けした打線が1得点と振るわなかった。6試合で9得点。1試合平均わずか1・5得点と快音を封じられ、リーグ優勝チームとしては2017年の広島以来7年ぶり、優勝チームとして臨んだ巨人としては、通算3度目のファイナルS敗退となった。

 ファーストSは12日、ファイナルSは16日に開幕した。それでも巨人は両リーグ最速となる2日にレギュラーシーズンの全日程が終了し、ファイナルSまで約2週間の空白期間があった。6日に全日程を終えた3位のDeNAは6日後にファーストSを迎え、その3日後にファイナルSに臨んだ。実戦勘という観点ではDeNAに分があった。日本ハムの新庄監督は7日の楽天戦が雨天中止になった際、「(4日に全日程が終了したロッテより)こっちが有利になってるね」と発言し、必要以上に日程が空くことはマイナスに作用する可能性があることを示唆していた。それでも、4日に全日程を終えたソフトバンクは12日後に始まったファイナルSまでのブランクを感じさせない強さを証明しているのだが…。

 阪神OBの中田良弘氏は「空きすぎだよな。フェニックス(リーグ)に行って調整してたでしょ。一番はファンに間延び感を与えてしまうことだよね。せっかく巨人が優勝してファンの人も盛り上がってるのに、2週間も空いたら、そりゃ熱が冷めちゃうよ、少しずつ。優勝してすぐやるから盛り上がるのであって、時間が経てば経つほど、選手の調整にも影響が出るのも当然だよね。この点に関しては、メジャーのプレーオフのようなスピーディーさが欲しい」との持論を述べた。

 日程編成に関して球界関係者は「今年はドーム球場や、それ以外の球場も日程が順調に消化しました。セ・パともにCS開幕2日前までにレギュラーシーズンを終わらせる目標もあります。これまでの経験値からも、12日間から2週間程度余裕を持って予備日を設定する必要があるため、このような日程になりました」と説明した。

 今年に限らず、過去にもリーグ優勝チームの調整の難しさが何度も訴えられてきた。最高のパフォーマンスを提供するための舞台が、空白期間の長さによって輝きが失われるものならば、CSの存在意義が問われかねない。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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