【野球】阪神・森下 センター返しで広角打法磨く イメージは「ハンマー投げ」打率&HR向上へ「今一番必要」
野球トレーニング施設を経営する「株式会社Rebase」の池田則仁代表(33)が28日、阪神・森下翔太外野手(24)の来季への取り組みを明かした。森下は秋季練習前に同施設を訪問。今季を踏まえた一番の課題として「センター返し」を掲げた。プロ3年目は広角打法で自身初のタイトル奪取を狙う。(データはすべて共同通信デジタル)
森下はCSファーストS終了後、すぐに来季へ向け動き始めていた。秋季練習前に、東京都内にある「Rebase」を訪問。「いい意味でも悪い意味でも負けてしまったのはプラスに捉えて。先に練習ができるので、次に向けて」。中大3年時から指導を仰ぐ代表・池田氏と来季に向けてのプランを組み立てた。
動きだしが早いのも昨季の反省があったからだ。「(昨オフは)1月だけで新しいことをやろうとしていたのですが、1カ月弱でフォームを作るのは不可能。今年中にフォームを作って、1月は調整という感じで」と池田氏。今季のテーマであった高めの球と内角球、直球への対応はクリアできたといい、来季へ新たな課題を打ち出した。
「センター返し。打率もホームランもすべてを向上させるために今一番必要なので」
中大時代は広角に打てることが強みだったが、プロ入り後は変化球にも対応できるフォームに。今季、打率・275、16本塁打、73打点はすべて1年目の数字を上回った。ただ、全126安打の内訳を見ると、左方向が75本、中方向が40本、右方向が11本。比率にすると左方向に59・5%、中方向に31・7%、右方向には8・7%と偏りのある結果になった。キャリアハイを更新するには、中堅から右への打球を増やす必要がある。
近年、首位打者を取った右打者は共通して中方向へも高い数字を残している。今季首位打者に輝いたオースティン(DeNA)は左方向に48%、中方向に36・8%、右方向に15・2%。昨季の首位打者である宮崎(DeNA)の23年は左方向に42・9%、中方向に33・8%、右方向に23・3%という結果だった。
池田氏が森下の目指すタイプとして挙げたのが、鈴木誠也(カブス)だ。鈴木はNPBで首位打者となった21年、左方向に47・8%、中方向に約39・8%、右方向に12・3%だった。池田氏は「センターに4割、あとの3割ずつを左右に打てれば」と理想の数字を掲げた。センター返しを増やすために、フォームのベースや見た目は変えない。「センターにどうやって力を伝えるか」と池田氏。森下は力学などの座学を受け、その知識を照らし合わせながら、打撃練習を約1時間行った。
力を伝えるイメージは「ハンマー投げ」。「回旋しながら投げるが、回っている方向に向かっては投げない。投げるのは真っすぐの方向」と池田氏。引っ張りの打球が多い森下には「それは客席に向かって投げてるんだぞ」とイメージの違いを伝えた。森下は「難しい~くそ!」と苦戦しながら練習していたという。
13日のDeNAとのCSファーストS最終戦では理想に近い一打を放っていた。七回2死二塁でウェンデルケンから中前へはじき返した適時打だ。ただ、森下は「もう少し角度がついたイメージだった」とバックスクリーンに入れたい一打だったという。その打撃を来季は常にできるようになることが理想だ。
センター返しを課題とするのは、大きな目標があるからだ。「タイトル奪取」。プロ入り後から池田氏と話していたのが、「1年目、2年目で自分との戦いは終わりにしよう。3年目からは人と戦おう」ということ。今季は9月中旬まで打点王を射程圏内に捉えていたが、最終的にはリーグ4位に終わった。広角打法を身につけ、3年目の来季は自身初のタイトルを奪いにいく。(デイリースポーツ阪神担当・山村菜々子)