【野球】侍・井端監督が牧秀悟の満塁弾時に見せた珍しいシーン 現役時代から極力控えていた行動とは
「ラグザス presents WBSCプレミア12・2次リーグ、日本代表9-6ベネズエラ代表」(22日、東京ドーム)
一塁側ベンチから、身を乗り出すように打球の行方を見つめていた。スタンドインを確信すると握りしめた右拳を振り下ろし、大きく口を開けて吠えた。栗原の押し出し四球で同点に追いついた六回、牧の勝ち越し満塁弾が飛び出した場面。侍ジャパンの井端監督が珍しく感情を表に出した。
冷静沈着。現役時代から、グラウンド上ではあまり喜怒哀楽を表さない選手だった。「逆の立場に立った時を考えたら、あまりね。もちろん興奮しますし、うれしいんですけど、そこでシーズンが終わるわけじゃないので」。常に先を見つめていた。
思い起こすのは、2013年のWBC2次ラウンドの台湾戦。1点を追う九回2死二塁。一塁走者の鳥谷が驚きの二盗を決めた後、井端が起死回生の同点打を中堅左に運んだシーンだ。
こちらもグラウンド上であまり感情を表さない選手だった鳥谷でさえ、本塁生還後に歓喜の雄たけびを上げていた。だが、白い歯をこぼした一塁ベース上の井端は、その前年から楽天選手がタイムリー時などに塁上で繰り出していた「バーン」のポーズを少しはにかみながらしていたぐらいだった。
そんなプレーヤー・井端が、監督・井端となって迎えた初のプレミア12。自らのプレーで戦況を動かす立場から、現場の最高責任者としてチームを見渡し、見守る側に回った。そんな立ち位置の変化が、感情表現の変化につながったのだろうか。
前回大会では優勝を決めた瞬間、稲葉監督が涙を流した。監督が背負う責任と十字架の重さを象徴したような場面だった。中日での現役時代、リーグ優勝、日本一を飾った際に井端が涙した記憶はない。侍ジャパンが連覇を飾った瞬間、指揮官はどんな表情を見せるのだろうか。(デイリースポーツ・鈴木健一)