【野球】中日ドラ1 金丸が筋トレ経験なしで最速154キロを投げられる理由 “あえて”手を付けず

 関大・金丸夢斗投手(21)は今秋ドラフトで阪神など4球団競合の末に中日から1位指名を受けた。最速154キロを誇りながらも本格的なウエートトレーニングの経験はなし。剛腕の出力はどこから生まれているのか、即戦力ながら秘められた伸び代に迫った。

 金丸はウエートトレーニングに“あえて”まだ手を付けていない。筋肉のよろいを身にまとわずとも繰り出される最速154キロの直球。プロ入り後の活躍を見据えていたからこそ、バーベルを担ぐのは時期尚早と判断していた。

 177センチ、77キロ。金丸を間近で見るとそれ以上に大きく見える。どっしりとした体幹に分厚く膨れあがる胸部。体は明らかに鍛えていることを物語るが「本格的に重りを持ったことがない」という。

 出力の源は「呼吸」にあった。息を吸う、吐くは、肺、横隔膜や腹筋、肋骨(ろっこつ)などの動きからなるものであり、いわば体幹トレーニングの一種。息を吸って腹圧を高めて体を固める、体全体の連動性を高める精度が上がったことが球速が増した要因だ。ストローをくわえて目いっぱい息を吸うなど、周囲から見れば変わったトレーニングを徹底して行った。

 ベンチプレスなど多関節運動となるウエートトレーニングに本格的に取り組んだ経験はない。それでも、たまにバーベルを担げばスクワットで150キロ以上挙げることができるという。腹圧によって体幹を固めることができ、重りにつぶされることなく体の出力を出すことができるからこそ、慣れない重い重量も扱える。「呼吸で体が内側から大きくなるんですよ」。たくましく見える肉体は内面から作られたものであった。

 ワインドアップを行う直前にはグラブを胸の前に構えて体をくねらせる。「力の出しやすい姿勢を探っている」と数ミリ単位で胸郭などのポジションを動かし、心地よい体幹の形を決めているという。スカウトから絶賛の声が相次いだのはフォームの高い再現性。それを生み出していたのは投球動作に入る前のルーティンにあった。

 己を知り尽くしているからこそ高いパフォーマンスを維持できる。食生活では炭酸飲料に加え、スポーツドリンクなど清涼飲料水はご法度。果汁100%ジュースと書かれたものでもパックの裏の栄養成分表に目を通す。「飲んだら体調がおかしくなる」とささいな体の変化にも反応する徹底ぶり。侍で親交を深めた同学年のオリックス・山下の意識の高さに刺激を受けて、より体に気を配るようになり、「食事を一定にすることで波がなくなる」とプロ並みの意識で大学生活を送った。

 「野球がうまくなるためにどうすればいいかを考え続けていた。まだ球速は伸びると思います」。将来的にはウエートトレーニングの導入も視野に入れている左腕。筋肉の“エンジン”が加わったときにどれほどの剛球を投げるのか-。金丸の描く成長曲線は予想できない。(デイリースポーツ・北村孝紀)

 ◇金丸 夢斗(かねまる・ゆめと)2003年2月1日生まれ、21歳。兵庫県出身。177センチ、77キロ。左投げ左打ち。投手。神港橘、関大から24年度ドラフトで中日から1位指名。直球の最速は154キロ。チェンジアップも操る。関西学生リーグでは通算20勝。今年3月には侍ジャパンにも選出された。

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