【野球】横浜の27年ぶり神宮V支えたエース・奥村頼人の思い スーパー1年生・織田に強烈ライバル心

 第55回明治神宮野球大会高校の部で、横浜が松坂大輔を擁した1997年以来、27年ぶり2度目の優勝を飾った。背番号1を背負う左腕・奥村頼人投手(2年)が優勝投手に。最速151キロ右腕・織田翔希投手ら1年生の台頭が著しい中、名門のエースとしてプライドをにじませた。

 「まだまだ自分が1番なので」。奥村頼はスーパー1年生の“宣戦布告”に対し、言い切った。名門のエースナンバーを簡単には譲らない。

 25日に閉幕した神宮大会で27年ぶりの頂点に立った横浜。主役に躍り出たのは下級生の織田だった。初戦で明徳義塾を2安打完封に封じ鮮烈なデビューを果たすと、全3試合に登板して計21回1/3を自責1。2年後のドラフト上位候補として期待する声が多く上がった。

 一方の奥村頼も準決勝・東洋大姫路戦に先発し、計7回を無失点と好投。打撃にも定評があり今大会では5番を任され、投手以外では左翼の守備に就いた。決勝では先発した織田が4-2の九回に招いた1死二、三塁の危機でマウンドに上がり、リードを守り抜いて胴上げ投手に。織田のような球速はなくとも、伸びのある直球を主体に安定感ある投球を見せ「(今秋は)県大会も関東大会も最後に投げたのは自分。甲子園でも最後は自分がマウンドを守れるように。それがエースだと思う」と誇りを口にした。

 自身も1年秋から名門の主戦を担った中、複雑な思いがなかったわけではない。「勝ったうれしさもあったんですけど、レフトから見ていて悔しさもあった。織田がすごいのは誰が見ても分かる」。キャッチボールなどで、そのすごみを一番に感じているのも事実だ。それでも「打者が立ってからが投手」ときっぱり。背番号1への思いを問われた織田が「着けたい思いはあります。できるだけ早めに」と即答したことを知ると、ほほえみながらも力強く語った。

 「かわいい後輩ですが、グラウンドに立てば関係ない。球速は今すぐは超えられないですが、それ以外の部分で勝てるように意識しています」

 村田浩明監督(38)からの信頼も厚い。「織田は最後に投げきれなかったり、まだ投げることで精いっぱい。けん制やバント処理などができてエースだと思うので、そういうのができるのが奥村」。織田にとっても「頼人さんがいるから自分のやるべきことに集中できる」と頼れる先輩だ。

 投打で注目を集め、今大会は野手に専念した最速140キロ左腕・小野舜友選手(1年)も控えるなど選手層は厚い。「ひと冬越えて、真のエースになれるように」と奥村頼。松坂世代が成し遂げた公式戦44連勝の伝説に挑むYOKOHAMAの大黒柱へと成長する。(デイリースポーツ・間宮涼)

 ◇奥村 頼人(おくむら・らいと)2007年9月8日生まれ、17歳。滋賀県彦根市出身。左投げ左打ち。178センチ、78キロ。3歳から野球を始め、高宮スポーツ少年団に所属した小学6年時には阪神ジュニアに選出。彦根中では滋賀野洲ボーイズでプレー。横浜では1年春からベンチ入り。最速146キロ。50メートル走6秒4、遠投100メートル。憧れの選手はカブス・今永昇太。

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