【野球】なぜ会沢翼会長はプロ野球選手会の存在意義を再確認して共有し「一枚岩」を強調したのか 激震の球界再編問題から20年の節目
労働組合・日本プロ野球選手会は5日、大阪市内のホテルで定期大会を開いた。終了後、会見の冒頭で選手会の会沢翼会長(広島)が、熱い口調で報道陣だけではなく選手たちに語りかけるように訴えた。
「数多くの選手に集まっていただいた。もう一度、選手会の存在意義ということ。一致団結、一枚岩になっていくことが必要だと。改めまして、選手の皆さんに共有意識させていただきました。(今年は)ストライキから20年目の節目。選手会とは、どうあるべきかをみんなで話し合いました」
近鉄球団とオリックスの合併などで激震が走った2004年の球界再編問題から今年で20年の節目を迎える。最終的に選手会がストライキを決行し、当時は社会問題にもなった。今年がその節目であることはもちろんだが、選手会が抱える大きな問題も無関係ではないだろう。
選手会に対する意識の問題だ。既にロッテ・佐々木朗希投手が昨年のシーズン前に選手会を退会していたことが判明している。加入は任意だが、若手選手が退会することは異例の事態だ。今年の1月に日本プロ野球選手会の森忠仁事務局長は「率直に言ったら(抜けられるのは)情けないと思うし、寂しい」と語っていた。選手会は団結して権利を勝ち取ってきた歴史があるが、選手会に対する思いが希薄になってしまっている側面があることは否定できない。そうした事態に、じくじたる思いを抱える球界関係者も、多くいることだろう。
ロッテ・佐々木朗は今オフ、ポスティングシステムを使ってメジャー挑戦を目指す。この日の選手会の定期大会では「佐々木選手の件は特に今日、議題にして話したことはありません」と森事務局長。多くの関係者や選手たちが選手会の“存在意義”を再認識し、一枚岩となる決意を強めたことは間違いないだろう。(デイリースポーツ・伊藤玄門)