【野球】守護神マルティネスを失った中日が来季浮上するために必要なものとは 小笠原もポスティングでメジャー挑戦 3年連続最下位からの脱却
保留選手名簿に掲載されなかった時点である程度の覚悟はできていたとはいえ、中日ファンの嘆きは素早くネット上に広がった。巨人は16日、中日を自由契約となっていたライデル・マルティネス投手と契約合意に達したことを発表した。4年契約で推定総額48億円とみられる。
今季はチーム最多タイの60試合に登板し、2勝3敗43セーブ。2年ぶり2度目の最優秀救援投手賞に輝くと同時に、防御率1・09という圧倒的な数字で九回のマウンドを守り抜いた。育成契約から支配下登録を勝ち取ってからの7年間で166セーブを挙げた右腕の穴を埋めるのは、とても難しい作業になるのではないだろうか。
井上一樹新監督はマルティネス流出に備え、松山晋也投手を新守護神候補に挙げている。2年目の今季は自己最多の59試合に登板して2勝3敗41ホールド、防御率1・33。「八回の男」として救援陣を支えた。
来季をにらめば、勝利の方程式は玉突き式に今季は七回を担った清水達也投手が八回に回り、八回を任された松山が九回という図式になることが濃厚。プロ野球解説者の中田良弘氏は、七回に清水、松山に匹敵する安定感のある投手を据えられるかどうかが大きなカギを握ると指摘した。
「先発投手からすれば、6回まで勝っていれば勝てるという計算が立てば、序盤からスタミナを温存することなく投げられる。ただ、マルティネスが抜けたことによって、七回や守護神に対する安心感が薄れるのだとしたら、上位進出は望みづらい。守護神で落とす勝利というのは、実は最もチームにとっては痛い負けだから。よくいろんな監督が『アイツで負けたなら仕方がない』と言うけどね。今年は不振に苦しんだ大野、涌井、松葉、柳らが、七回まで投げることも求められるし、藤嶋、斎藤、橋本、勝野、岩崎、祖父江らリリーフ陣のさらなる奮闘も必要になる。ただ、ポスティングでメジャーに挑戦する小笠原の穴を埋めることは人海戦術で可能だと思うけど、絶対的な安定感を誇ったマルティネスの穴を完全に埋めるのは至難の業。来年も厳しい戦いになるんじゃないかなと思うよ」と持論を述べた。
では、球団史上初の3年連続最下位に沈む中日はどうすれば浮上できるのだろうか。中田氏は次の2点を挙げた。
①5年連続リーグワーストに沈む得点力アップ
②木下のスタメン固定
中田氏は得点力アップについて「立浪監督時代、チャンスはこれでもかって言うほど多くあった。だけど、そこで複数点はおろか、1点も取れないというケースが目立った。井上新監督も2軍監督として思うところがあっただろうし、いかに丁寧に1点を取る野球ができるかだろうね。1点1点の積み重ねが勝利を引き寄せるってことは、相手チームを見ながら感じてることだろうし」と指摘した。
続けて木下、宇佐見、加藤匠らの捕手陣をスタメン起用した正妻について「スタメンは最低でも木下が100試合以上はかぶるべき」とした。「木下はよく打つし、投手の良さを引き出そうという配球、姿勢が見える。今年のDeNAが山本を正捕手に据えて3位になったように、中日は併用制ではなく、正捕手をしっかり決めて戦っていく方がいいと思う」と解説した。
リーグ最下位チームの絶対的守護神だった右腕が、来季からリーグ優勝飾った同一リーグの守護神に座る。苦戦必至は明らかだが、マルティネスを登板させない展開を数多くつくる、すなわち八回までに巨人を上回る得点を挙げ、リリーフ陣がリードを守り切る。中田、細川、そこに基本合意に達しているとされる今季は3Aで31本塁打を放った左打ちのボスラーらをフィットさせることが不可欠になるだろう。(デイリースポーツ・鈴木健一)