【スポーツ】ダブル綱とりなるか まさに今が“旬”の琴桜&豊昇龍 データで見る綱とり適齢期
大相撲初場所(25年1月12日初日、両国国技館)の番付が23日に発表された。九州場所では大関琴桜(佐渡ケ嶽)が14勝1敗で初優勝を飾り、21年ぶりとなる大関同士の千秋楽相星決戦で惜しくも敗れた豊昇龍(立浪)は13勝2敗。ハイレベルな成績を残した両者は、初場所が綱とり場所となる。過去の横綱の昇進をひもとくと、2人はまさに今が“旬”といえる時期に当たっている。
絶好のタイミングと言えばいいのか。そろって自身初となる綱とりに臨む琴桜と豊昇龍。ちょうど最高位に上がる適齢期を迎えているというデータがある。
昭和以降に誕生した横綱は42人。昇進年齢の平均をみると、ほぼ27歳0カ月となる。琴桜は初場所で昇進を決めれば27歳2カ月。体力的にも経験的にも、脂が乗りきっている時期にあるのは間違いない。
豊昇龍は初場所で昇進を決めれば25歳8カ月。昇進年齢でいえば過去の42人中、25歳が最多の6人(武蔵山、双葉山、栃ノ海、玉の海、輪島、2代目若乃花)を数えている。こちらも充実の期間に入ったといっていいだろう。
次に横綱になるまでにかかった、大関の通過場所数を見てみる。琴桜は今年の春場所が新大関だった。初場所後に昇進すれば、通過場所数は6場所となる。豊昇龍は昨年秋場所が新大関。今回で昇進を決めれば、大関在位は9場所だ。昭和以降の横綱は、過半数の22人が9場所以内で通過した。また、31人が13場所以内で通過しており、逆にここを過ぎて14場所以上になると、昇進の確率はグッと下がる。
琴桜は初場所の番付発表会見で、大関昇進を果たして看板力士として戦ったこの1年を「いろんな経験とか、もちろん良かったことも悔しい思いをしたこともある。全体において経験になった1年」と話していた。その上で、地位の重みを「どれだけ大変なことか身に染みて感じている。やってみなきゃ、上がってみなきゃわからないところもある」と明かしていた。大関としての経験が糧となり、最高位への準備が整うには、やはり1~2年はかかるのだろう。
初の綱とりへの意識を問われた際には琴桜、豊昇龍ともに「意識しない」「いつも通り」「自分らしく」という言葉を口にした。年齢や幕内としてのキャリアも近い2人。大目標に挑戦するにあたっての意識も、似通っているのが印象に残る。
横綱のダブル昇進は、過去5例(昭和以降では3例)ある。琴桜と豊昇龍が成し遂げれば、1970年春場所の玉の海&北の富士以来55年ぶりの快挙となる。その一つ前の例が61年九州場所の大鵬&柏戸。同時昇進した横綱同士のしのぎを削る争いは、それぞれのしこ名から“北玉時代”“柏鵬時代”と称される活況を生んできた。琴桜と豊昇龍にも、2人の時代の到来を告げる偉業達成を期待したい。(デイリースポーツ・藤田昌央)