【スポーツ】元世界1位×元世界1位で昨秋ペア電撃結成した「フクマツ」の現在地 女子ダブルスに挑む最強の矛&盾の思い

 勝利し笑顔でガッツポーズの福島由紀(右)、松本麻佑組=12月26日
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 2021年東京五輪のバドミントン女子ダブルス代表の福島由紀(31)=岐阜Bluvic=と、松本麻佑(29)=ほねごり=が昨秋にペアを結成した。ライバル同士だった2人がコンビを組み、“元世界1位ペア”として女子ダブルスに挑む思いとは。

 世界1位を争ったライバル同士が、手を取り合った。福島は、広田彩花(岐阜Bluvic)と組んだ“フクヒロ”として世界選手権で3度の銀メダルを獲得し、18年から世界ランク1位に君臨。松本は、永原和可那(北都銀行)との“ナガマツ”として18年から世界選手権を2連覇した。

 両ペアは、その18、19年世界選手権の決勝で対決。日本人同士の頂上決戦は、ナガマツが制した。その後もライバルとしてしのぎを削り、東京五輪はそれぞれがベスト8。昨夏のパリ五輪の選考レースは、終盤まで代表権を争った。

 パリ五輪出場を逃したフクヒロは昨年9月にペアを解消し、ナガマツも永原が3月での現役引退を決断したため、同五輪後に解散した。偶然か、運命か。ライバル同時の解散時期が重なり、昨年9月末に福島と松本の新ペアが電撃結成された。

 177センチの長身を生かした高い打点の強打が武器の松本と、粘り強いラリーを展開できる鉄壁の守りを強みとする福島。デビュー戦となった昨年11月の熊本マスターズでは、いきなり準優勝し、同12月の全日本総合選手権ではベスト4の成績を残した。前ペアでは2人とも後衛を担っていたが、新ペアでは福島が前衛でシャトルをさばくことが多く、最強の矛と、最強の盾のペアが新たな形を築きつつある。

 女子ダブルスはパリ五輪銅メダルの志田千陽、松山奈未組(再春館製薬所)をはじめ、昨秋に結成された五十嵐有紗(BIPROGY)、桜本絢子(ヨネックス)組など強敵ぞろいの種目。12月の全日本総合選手権では準決勝で五十嵐、桜本組にフルセットの末に敗れたが、それは結成間もないがゆえ。松本は「お互いを意識しすぎたり、戦略を迷って甘くなって点を取られたところがあった」と課題を挙げており、「まだ始まったばかり。未来に期待しかない」と前を向いている。

 28年ロサンゼルス五輪は福島が35歳、松本が33歳で迎えるが、お互いが世界1位に立った経験値は、今後必ず生きてくる。次戦は7日に開幕するマレーシアオープンに出場する。五輪、世界選手権の次に格式の高い大会で、力を試すにはうってつけの舞台だ。人気アニメ「ドラゴンボール」の悟空、ベジータのように、ライバル同士が組んだペアはとてつもない力を発揮するのは通例。“フクマツ”の2025年に注目したい。(デイリースポーツ・谷凌弥)

 ◆福島由紀(ふくしま・ゆき)1993年5月6日、熊本県出身。青森山田高卒。3年時は全国大会の女子ダブルスで優勝。15年から広田彩花とぺアを結成した。18~19年、20~21年で世界ランキングトップに在位。世界選手権では銀メダルを3度獲得した。東京五輪代表。岐阜Bluvic所属。右利き、164センチ。

 ◆松本麻佑(まつもと・まゆ)1995年8月7日、北海道出身。とわの森三愛高を卒業後は北都銀行へ就職し、永原和可那と組み始めた。16年から日本代表入りし、18年から世界選手権を2連覇。東京五輪、パリ五輪代表。ほねごり所属。右利き。177センチ。

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