【野球】なぜ?マツダスタジアムが内外野の天然芝を9年ぶりに全面張替え中 大作業の裏にある野球場ならではの理由とは

 芝生の張り替え作業が進むマツダスタジアム=2024年12月
 剝がされるマツダスタジアムの芝生
 剝がされるマツダスタジアムの芝生
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 開業から今年で17年目となる広島のマツダスタジアムが変化のオフを迎えている。同球場の代名詞となっている内外野の天然芝。その全面張り替え作業が9年ぶりに実行中だ。そもそもなぜ芝を張り替えなければいけないのだろうか。

 昨年12月初旬、グラウンドには何台ものトラックと重機が入っていた。ショベルカーでベリベリと天然芝が剝がされていく様は、この地に根付いて9年の歳月を思うとあっけなく見えた。リーグ3連覇の黄金期も彩った“緑のじゅうたん”が役目を終えた瞬間だった。

 グラウンドを管理する球団の施設運営部の石原裕紀次長は「天然芝でも人工芝でもメリットとデメリットがある。そのメリットを伸ばしていくために数年に一度の大規模な張り替えが必要になってくるんです」と今回の全面張り替えの意図を説明する。

 素人的な考えだが、球場の芝生はオフシーズンでも毎日丁寧に手入れされている。生き物が故に生え替わりもあるのだから、わざわざ巨費を投じて張り替えなくてもいいのでは?と思ってしまった。この疑問を同次長にぶつけると「年月を重ねると芝のレベル(高さ)が上がって、土との境目の段差がひどくなってくる。それは日々の管理では限界がある」と教えてくれた。

 毎日水を吸って生きている芝と、その下にある土は長い年月を重ねるうちに盛り上がってくるという。その都度、内野の土も盛って、段差がなるべく出ないように努めてきたが、9年もたてば芝は10センチ以上も隆起。芝の耐久性や水はけ能力の向上に加えて、年々拡大する段差を改善するという野球場ならではの理由が大作業の裏にはあった。

 今回は土の入れ替えも行っている。土は水を吸うと硬くなる性質がある。昨今は夏場の暑さが厳しく、水をまく量と回数も増え、土はさらに硬くなりやすくなっていた。昨夏は選手たちから「土が硬くてイレギュラーが起こりやすい」という声も多く聞かれた。土壌を改善することで水はけ向上が見込まれ、夏場でもより良いグラウンド状態でのプレーが期待できる。

 その他にも球場照明のLED化や外野席の付け替えなど、改修が進むマツダスタジアム。芝生は1月から敷かれ始めており、保温などの養生作業に入る。3月のオープン戦では緑美しいグラウンドが見られそうだ。(デイリースポーツ・畠山賢大)

 ◆天然芝の球場 NPB球団の本拠地で天然芝が使用されているのは、マツダスタジアムのほかに楽天モバイル、甲子園、エスコンフィールドの計4球場。内野エリアが土の甲子園を除く3球場は内外野が天然芝だったが、エスコンフィールドは今季から内野エリアについては人工芝が使用される。

 【天然芝のメリット】

 人工芝と比べて衝撃をある程度吸収するため、選手の体への負担が軽減される。また、天然芝の緑は視覚的に美しく、観客にも良い印象を与え、自然な景観が試合の雰囲気を高める。環境面でも芝が二酸化炭素を吸収し、酸素を供給することで空気の浄化作用や、温暖化の抑制に寄与することが期待される。

 【天然芝のデメリット】

 定期的な手入れが必要。芝刈りや水やり、病気や害虫の管理など、維持管理には多くの労力とコストがかかる。また、雨が降るとグラウンドがぬかるみやすく、乾燥した日が続くと芝が枯れる可能性もあるなど天候に影響を受けやすい。初期導入費用や維持費も人工芝に比べて高い。

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