興毅のボクサー、長男としてのプライド

19日、シカゴから帰国した亀田興毅は、戦い抜いたボクサーのプライドをにじませる=成田空港(撮影・開出牧)
19日、シカゴから帰国し囲み会見で心境を語る亀田興毅=成田空港(撮影・開出牧)
19日帰国後、囲み会見に応じる亀田興毅=成田空港(撮影・開出牧)
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 ボクシングのWBA世界スーパーフライ級王者・河野公平(34)とのタイトルマッチに敗れ、引退を表明して帰国した亀田興毅(28)を、ファインダー越しに追いかけた。

 19日午後1時45分、シカゴから成田空港に到着した亀田は、純白のジャケットにレイバンのサングラスをかけ、さっそうと到着スポットに現れた。

 写真は税関へ向かう途中の動く歩道で撮影したものだが、帰国して初めて向けられたレンズに対し、口を一文字に結び、ボタンを外していたジャケットを右手で閉じた。その隙のない所作には、戦い抜いたボクサーのプライドがにじんでいた。

 12年間のプロボクサー人生となったが、大阪から上京し、プロボクサーとして成功するのは並大抵のことではなかっただろう。亀田三兄弟の長男は、様々な壁や雑音と戦いながら史上初3階級制覇の偉業を成し遂げた。

 以前、東京進出して間もない頃に撮影した亀田三兄弟のスリーショット写真をプレゼントしたことがあったが「1枚しかないの?」と、長男は残念そうにつぶやいた。弟思いの兄貴だということは折に触れて感じていたが、この時の残念そうな表情は忘れられない。

 言動や行動で反感を買うことが多かったが、取材する度に長男の強さと優しさを感じたものだ。亀田家の夢を背負って闘っていたと言っても過言ではないだろう。

 この日も囲み会見で次男の大毅(26)、三男の和毅(24)への思いを語っていたが、サングラスで隠した向こう傷に、長男のプライドがにじんでいた。

(写真と文=デイリースポーツ・開出牧)

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