強いカープの原動力は、サムライスタイルの優良助っ人
快音が響き渡る室内練習場でひときわ大きな声を出してバットを振る選手を見つけた。チーム1の巨漢でナインから『カントリー』と呼ばれる男、広島のブラッド・エルドレッドだ。
リーグ連覇を成し遂げ、CSファイナルステージに向けたカープの練習を、取材することになり、強さの秘密を探ろうと広島に向かった。
午後1時から始まる全体練習はキャンプさながらの猛特訓。野手は若手もベテランも無心にバットを振り抜く。それぞれが声を出して鼓舞し、活気に満ちあふれた練習に驚かされた。
中でも助っ人のエルドレッドが目立っていた。大粒の汗をかきながら時折、若手選手に声をかけたりジョークを飛ばして場を和ませる。しかしバットを握れば自慢の長い金髪一つに束ねた“サムライスタイル”で集中力を高め、ノックでは横っ飛びで1球への執着心を見せる。彼の姿に他の選手からは喝采が起こるほどだ。大きな体を揺らし練習に没頭する彼の気迫がこちらまで伝わってくるようだ。
練習のための練習ではなく、1球の大切さをかみしめるようにバットを振り、ボールを追う姿が印象的だった。悲願の日本一へ向け、一丸となったカープの強さを垣間見た。
(写真と文 デイリースポーツ・田中太一)